2020年1月24日(金)

■21世紀枠 磐城センバツ決まる コバルトブルー旋風よ再び

第92回選抜高校野球大会の出場32校を決める選考委員会が24日、大阪市の毎日新聞社オーバルホールで開かれ、いわき市に甚大な被害をもたらした昨年10月の台風19号を乗り越え、秋季東北大会8強に進出し、被災した地元に勇気を与えた磐城が21世紀枠での甲子園出場校に選ばれた。いわき勢の21世紀枠でのセンバツ出場は、平成25年のいわき海星に次いで2校目。

令和最初のセンバツに古豪が帰ってきた。磐城は平成7年夏以来、10回目(春3回・夏7回)の甲子園となるが、センバツ出場は昭和49年が最後で、実に46年ぶりの快挙となる。昭和46年夏には準優勝に輝き、チームカラーから「コバルトブルー旋風」を巻き起こしたと言われる磐城。聖地で再び爽やかな風が吹かせられるか。

また過去2回のセンバツ(昭和43、49年)はいずれも初戦敗退だったため、初の春1勝も懸かっている。3月13日に組み合わせ抽選会が行われ、令和最初のセンバツは同19日に、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。

■12年ぶり東北切符きっかけに

昨夏の初戦敗退の悔しさをばねにし、岩間涼星主将(2年)ら選手19人とマネジャー1人で、自主性を重んじながら、練習に励んできた磐城。主戦の沖政宗(2年)の活躍もあって、秋季県大会の3位決定戦は、東日大昌平のとの同地区対決を制し、12年ぶり11回目となる東北の切符を手にした。

東北大会では初戦の東海大山形に快勝。だが、地元に戻ってくると、台風19号で河川は氾濫・決壊し、復旧作業が続く様子を目の当たりにした。「野球をやっていていいのか」という迷いを抱きながらも、被災した古里を勇気付けようと、再び戦うことを決めた。

46年ぶりの4強こそかなわなかったが、8強の結果が21世紀枠を後押しした。大会後は被災家屋の後片づけに奔走したほか、野球人口拡大のため、地元の放課後児童クラブで、小学生とのふれあいも継続した。市民の期待を背負って、磐城は聖地に立つ。

写真は、センバツ出場の連絡を受け、喜びを爆発させる磐城ナイン=24日午後3時37分、平字高月のグラウンド(クリックで拡大)

■昨年10月の台風19号避難所 1月中に閉鎖へ

清水市長は24日、昨年10月の台風19号に伴い、いわき市に設置された避難所について、現在唯一残っている内郷コミュニティセンターに関しても、1月中に閉鎖する方針を明らかにした。同日の臨時市長記者会見で表明した。市によると、24日午前6時現在、内郷コミュニティセンターでは、15世帯37人が不自由な生活を余儀なくされている。台風の避難者は昨年10月13日午前1時の時点が最も多く、市内57カ所に3018世帯・6968人が身を寄せた。

避難所の閉鎖に当たって、清水市長は「(内郷コミュニティセンターは)健康上も衛生上も、必ずしも良い環境とは言えないため、新たな生活再建を勧めた」と語った。市職員がいまだ残っている人に事情を聴き、37人すべてが次の生活先が見つかったという。

清水市長によると、主に東日本大震災・東電福島第一原発事故の際に整備した市内応急仮設住宅を紹介したほか、民間アパートへの入居が決まり、1月中の避難所閉鎖が固まった。

内郷コミュニティセンターは水害被災前、地元のサークル活動やスポーツ大会に使用されており、地域住民から早期の再開を求める声も上がっていた。現時点では再開時期は未定なものの、清掃などを実施し、一般利用ができるようにするとしている。

館内には自宅が水没するなどした市民が避難しているが、体育館や講堂に個人スペースを設けるだけで、必ずしもプライバシーが守れているとは言い難い。また食事もボランティアによる炊き出しを除き、弁当が中心となっていた。

台風被災と直接の関連は判明していないが、内郷コミュニティセンターに避難している人のうち、昨年11月には70歳代女性、同12月には40歳代男性が死亡している。

写真は、内郷コミュニティセンターの体育館に設けられた個人スペース(クリックで拡大)

■水石山で母子4人の遺体発見 死因はいずれも刃物傷 双子の姉は首締めもか

いわき市三和町合戸の水石山公園駐車場で22日未明、普通乗用車の車内から母子4人の遺体が見つかり、4人の死亡に関与したとみられる男(51)が重傷で運転席にいた事件で、いわき中央署は24日、司法解剖の結果、遺体はいずれも刃物が原因で、大量出血したり、出血性ショックが起きたりしたことが、死因となったと明らかにした。

男は4人を刺した趣旨の話をしており、同署は殺人容疑を視野に、男が回復し次第逮捕する方針。同署によると、遺体は同市小名浜、職業不詳女性(43)、息子の中3・男子生徒(15)、娘の中2・女子生徒(13)、同・女子生徒(13)。女子生徒2人は双子の姉妹。男は吉川さんと同居関係にあり、同じアパートの隣に住んでいたことが分かっている。

23日に福島市の県立医科大で、遺体の司法解剖が行われた。女性と妹は首を切られたことによる失血死、兄は首を刺されたことによる失血死だった。姉も首を切られたことによる失血死とされるが、首を絞められた跡もあった。

遺体の状況から、死後数時間しか経過していないという。車内からは血の付いた刃物として、包丁と短刀が残されており、これらが凶器とみられる。また車両のそばには、使用済みの練炭と七輪(しちりん)もあったが、4人の遺体からは、死亡につながる一酸化炭素は検出されなかった。

捜査関係者によると、事件直前に練炭と七輪を購入したのを把握しており、同署は死亡に至った経緯を慎重に調べている。男は署員が駆け付けた際、刃物で首や腹を刺した状態だったため、市内病院で手術を受けた。捜査関係者によると、少なくとも退院までは、1〜2週間かかると見込んでいる。

■いわき花火大会は9月5日開催 東京五輪・パラ影響

いわき花火大会実行委員会(正木好男実行委員長)の関係機関連絡調整会議が24日に小名浜で開かれ、67回目を迎える「いわき花火大会」の開催日を例年よりひと月遅らせ、9月5日にすることを正式に決定した。東京五輪・パラリンピックの影響で警備体制とシャトルバス運行に支障を来すためで、前夜祭のいわきおどり小名浜大会も4日にずらす。おなはま海遊祭は例年通り7月最終週の25、26日に設定する。(昨年11月30日付で一部既報)

同実行委員会によると、花火大会では例年、市内外の10のバス会社の協力を得、50台体制で泉地区と会場を結ぶシャトルバスを運行しているが、大会と日程の重なる五輪・パラリンピックの期間中、乗務員の多くが東京に派遣されるため、シャトルバスの運行が困難となった。

会場は数万人規模の駐車場スペースを持たず、電車などの公共交通機関もないことから混乱が予想される上、五輪・パラリンピックに伴う警備不足が見込まれる。全国の1万発規模の花火大会が軒並み順延していることも背景に、このたび順延が決まった。

関連イベントのいわきおどり小名浜大会は例年の開催規模から8月初週も現実的だったが、花火大会の「前夜祭」という意味合いが強く前日の4日に。ただ、夏休みから外れるために参加者の減少が懸念される。おなはま海遊祭については五輪・パラリンピックの影響が薄いことから、7月25、26日とした。

上野台祐一花火委員長は決定を受け、「いわきを代表する夏の風物詩なので、本音を言えば8月に実施したかった。市民の皆さんには申し訳ないが、規模はそのまま開催予定なので、昨年の水害で被災された方々を中心に、少しでも元気づけることができるよう頑張って準備を進めたい」と話している。