2020年1月23日(木)

■磐城高箸「眠り杉枕」海外販売 被災者の安眠支えた実績がシンガポールへ

いわき産スギの間伐材を用いた高級割り箸(ばし)、鉛筆などの製造・販売を行う磐城高箸(本社・田人町南大平、高橋正行代表取締役)は、シンガポールの高級寝具ブランド「KOMME(コメ)」を展開する投資会社と、主力商品の一つで、震災被災者の安眠に役立ててほしいとの願いを込めて開発した枕「眠り杉枕」の海外独占販売契約を結んだ。

今春には同国での販売を開始。アジア各国、欧米への進出も予定されており、高橋代表は「田人の山奥から世界に打って出る。こんな痛快なことはないし、いわき、福島のイメージアップに繋(つな)げたい」と意気込んでいる。 眠り杉枕は、震災、原発事故後、仮設住宅で避難生活を続けてる被災者の現状を憂い、「眠れない夜を過ごす避難者に安眠を届けたい」との願いを込めて3年以上試行錯誤し、名古屋市の寝具メーカーの協力を得て商品化した自信作だ。

割り箸の製造過程で生まれる、強度不足の規格外品や端材を捨てずに活用。枕1個あたり約500膳分をチップ状に裁断して中袋に詰め込んでおり、安眠、リラックス効果のある杉の香りと、こだわりを込めたクッション性が高い評価を得、2017年度のグッドデザイン賞を受賞した。

高橋さんはブランド力の向上を目指す中で、いわき産学官ネットワーク協会のASEANグローバル技術連携交流事業を通じ、昨年2月にシンガポールを拠点とする投資会社JCSグループと初商談。物流産業、再生可能エネルギー、医療機器、航空宇宙産業など多様な事業を展開する投資グループで、事業の一環として世界進出を狙う高級寝具ブランド「KOMME」を立ち上げる中、高橋代表の熱意と眠り杉枕の質の高さが担当者の興味を引いた。

交渉は難航したが、ふくしま県産材競争力強化支援事業を活用し直接同国に赴くなどしてグループ会長の高評価を得、昨年12月に海外独占販売契約を締結。交渉中、原発事故の風評を感じることは一切なく、磐城高箸専属の担当者を置くほどの熱の入れようで、2月末には第1便となる50個を輸出することが決まった。

同グループでは3月にマレーシア、6月にカンボジアとインドネシア、12月に香港と中国、来年3月に米、独にブランド展開する予定で、各国でも眠り杉枕を販売するという。初年度は千個ほどの納品が見込まれており、同社では増産に向けて製造機械の新規導入なども視野に入れる。

いわき産木材の消費拡大にも期待がかかり、高橋代表は「邪魔者扱いされる杉に創意工夫を加えただけで、世界に出せることが証明できた。過疎地域に立地する企業が頑張ることで、起業や田舎で働きたいと考える若者に夢と希望を与えたいし、枕のキャッチコピーの『福島みんなの夢を詰め込んで』の通り、いわき、福島の魅力を世界に伝えたい」と意気込み、海外販路拡大の成功に向けて気を引き締めた。

写真は、海外進出が決まった眠り杉枕を持ち、意気込む高橋代表(クリックで拡大)

■水石山母子4人遺体発見 借金苦に無理心中か 練炭や包丁・短刀見つかる

いわき市三和町合戸の水石山公園駐車場で22日未明、普通乗用車の車内から母子4人の遺体が見つかり、4人の死亡に関与したとみられる男(51)が重傷で運転席にいた事件で、車両のそばに使用済みの練炭や七輪(しちりん)があったことが23日、いわき中央署への取材で分かった。車内からは血の付いた刃物として、包丁と短刀も発見されている。同署は23日、4人の遺体を福島市の県立医科大で司法解剖しており、何が死亡につながったかを調べている。

同署によると、遺体はいわき市小名浜愛宕町、職業不詳女性(43)、息子の中3・男子生徒(15)、娘の中2・女子生徒(13)、同・女子生徒(13)。女子生徒2人は双子の姉妹。男は女性と同居関係にあり、同じアパートの隣同士に住んでいることが分かっている。署員が水石山公園駐車場に駆け付けた際、男は刃物で首や腹を刺した状態で、自分が4人を刺した趣旨の話をしていた。

男は市内病院に搬送されているが、捜査関係者によると、手術を必要としたため、本格的な取り調べには時間がかかるという。同署は殺人容疑を視野に捜査しており、男の回復を待って逮捕する方針。

23日には男や吉川さん宅の捜索も実施し、犯行の裏付けに当たった。110番に通報があったのは、22日午前1時半ごろで、男が自ら携帯電話で連絡しているが、小名浜のアパートから、水石山公園駐車場までは約30キロの道のりがあり、同署は犯行に至った経緯も追っている。

遺体があった車両は女性名義のミニバンタイプ。助手席に女性、2列目に兄と姉、3列目に妹が座っていた。4人とも首に刺し傷があり、外見から遺体は死後間もないとされ、着衣に乱れはなかった。

また事件前の状況として、男は兄と一緒に出かける様子を、近隣住民もたびたび見かけていた。事情を知らない人は、本当の親子だったと思っていた。

同署によると、男は別に家庭を持っていた一方、女性も戸籍の上ではほかの男性と婚姻状態にあった。亡くなった3きょうだいの上にも、男女3人の子どもがいるが、すでに生計は別にしている。

一方で男は清掃業を営むも、事業に失敗したため、借金を苦にしていたという。現在は無職だった。捜査関係者もそうした事情を把握しており、金銭的ないきさつで、無理心中に至った可能性もにらんでいる。

写真は、母子が生活していたアパート。隣には男も住んでおり、同居関係にあった(クリックで拡大)

■NPO法人「青陽」 クラウドファンドで運営費募集中

磐城高等芸術商科総合学園(芳賀敦子校長)=平下神谷=内に併設する「NPO法人青陽」(芳賀進理事長)は3月29日まで、いわき信用組合のクラウドファンディング「FAAVO磐城国」を活用し、来年度運営費などを募集している。

「青陽」は平成30年、発達・学習障害、不登校、引きこもりの学生の自立支援を目的に設立。1人ひとりの技能習得、スキル向上に向けて作品制作、展示などに取り組み、昨年12月には市に切り絵作品「希望のいわき」を贈呈している。

クラウドファンディングは、同法人における作品制作を個人の材料費負担、芳賀校長ら同校職員のポケットマネーで行っていることから、作品材料、展示・ショップ運営用に十分な資金を必要としている。

同法人副理事長も務める芳賀校長は、「発達障がいを持つ子どもたちの自立を目指していきたいと思っています。温かい支援をお願いします」と協力を呼びかけている。目標額は80万円。

支援は千円から5万円のコースを用意し、クレジットカード(VISA、MasterCard、JCB、Diners、Amex)支払い、「Pay―easy」の銀行振り込み、コンビニ支払いが可能。返礼品にはレジンストラップ、切り絵のポストカード、しおり、色紙、数寄屋袋、大人用へこ帯、オリジナル切り絵などが用意される。

問い合わせは、青陽=電話(34)4555=まで。また磐城高等芸術商科総合学園は31日まで、イトーヨーカドー平店2階平七小で切り絵作品を展示中。 同展ではたいらまちづくり、同店の協力で同校生徒5人が四季、令和を題材にした切り絵35点を紹介している。時間は展示時間は午前9時から午後9時。

写真は、支援を呼びかける芳賀校長(クリックで拡大)

■市内の中学・高校・一般による「合唱祭」 2月2日にアリオスで

県合唱連盟いわき支部主催「合唱祭2020」が2月2日、いわき芸術文化交流館「アリオス」大ホールで開かれる。入場料500円(全席自由、高校生以下無料)。いわき民報社などの後援。合唱祭は市内の中学・高校の合唱、一般コーラス団体が一堂に会し、日頃の練習の成果を披露する催し。

開場午後1時半、開演同2時。未就学児の入場は、事前に連絡する。問い合わせは、同支部の金成さん=電話090(3640)4322=まで。 チケットは、アリオスチケットセンター=電話(22)5800=で取り扱っている。

参加団体は次の通り。

平一中 平三中 草野中 湯本一中 小名浜一中 泉中 植田中 磐城高 磐城桜が丘高 湯本高 好間高 いわき総合高 いわき光洋高 平FG合唱団 いわき楽友会合唱団 女声合唱団ラ・ヴィアン・クール コール・フロイデ いわきメンネルコール 県合唱連盟相双支部(賛助出演)福島楽友協会合唱団(同)