2020年1月20日(月)

■県高校新人ラグビー 磐城が4年ぶり優勝 松韻福島を撃破

磐城が4年ぶりの県頂点に―県高校新人体育大会ラグビーフットボール競技(県ラグビーフットボール協会主催)は大会最終日の19日、いわきグリーンフィールドで決勝と第3代表決定戦を行った。決勝では、4年ぶりの優勝を狙う磐城が前後半で4トライを奪い、松韻福島を29―7で撃破し、令和初の県頂点に立った。東北新人大会は2月5日、同フィールドなどで開幕。優勝した磐城はT部トーナメントで、秋田県第1代表の秋田工業との初戦に挑む。

先行した磐城がサイズで上回る松韻福島を退け、4年ぶりの県頂点に立った。磐城は前半8分、敵陣15メートル付近の右中間ラックからSH上遠野が持ち出し、先制のトライ。24分にはCTB山崎が相手のボールを奪って敵陣に攻め込むと、キックを使ってボールを前に出して前進。そのまま走り込んで2本目のトライを奪い、12―0で前半を折り返した。

後半7分には、敵陣22メートルラインでPGを選択し、山崎が決め、3点を加えると、その10分後、相手のノックオンのボールを拾った山崎が上遠野につないでトライ。21分にモールで押し込まれ、1トライ、1ゴールを許すも、終了間際、上遠野がこの日、自身3本目のトライを奪取すると、キッカーの山崎がコンバージョンを成功し、試合を決めた。

写真は、4年ぶりの優勝を飾った磐城フィフティーン=19日(クリックで拡大)

■いわきFC新加入 田中持ち前の明るさに光るプレー

サッカー・いわきFCは今季から、日本フットボールリーグ(JFL)に戦いの場を移した。19日にイオンモールいわき小名浜で開かれた新体制発表会で、ひときわ目立ったのはDF田中龍志郎(24)だ。JFLの強豪・ソニー仙台FCから加入した選手だが、自己紹介では親会社のドームが、アンダーアーマーの日本総代理店であるのに合わせ、そのロゴを体で表現する一発芸を披露し、会場のサポーターらを大いに沸かした。

「恥ずかしがり屋ではもったいない。平均年齢22歳の若いチームなので、率先して元気を売りにしたい」と田中。そり上げた頭がトレードマークとあって、一発で誰もが名前を覚えられる。もちろん、ただのムードメーカーにとどまらない。いわきグリーンフィールドで行われた、平成30年の天皇杯1回戦では、田中が奪ったボールを起点に、ソニー仙台FCがいわきFCから逆転勝利を収めた。

田中は「DFとして当たりが強いだけでなく、左足でのキックも得意」と持ち味を語る。さらに目標だったプロサッカー選手となったいま、感謝の気持ちを強く持つ。JFLでの戦い方も知っている。「全国に転戦するので、一人一人の過ごし方が大事になってくる」と話す。

いわき市の印象を問うと、田中は「海あり、山ありですてきな場所。趣味がドライブなので、休みの日は出かけたい」と声を弾ませる。Jリーグ3部(J3)昇格に向け、公私ともに頼もしい仲間が加わった。

写真は、意気込みを見せる田中=19日(クリックで拡大)

■県高校新人ラグビー 磐城 下馬評通りの活躍

県高校新人ラグビー競技。昨秋の花園予選の優勝校、準優勝校が準決勝までに姿を消し、本命なき決勝の舞台で、平成最初の4回大会を制した磐城が下馬評通りの活躍を見せ、令和初の県タイトルを手にした。サイズで上回る松韻福島の攻勢を体を張って食い止め、29―7で勝利。4年ぶりにいわきの地に優勝旗を取り戻した。平成最後の前回大会からチームの指揮を執る小松傑監督は「しっかりとやるべきことをやった結果」と教え子の頑張りを称(たた)えた。

期待のルーキーが勝利への風穴を開けた。前半8分、SH上遠野晶太(1年)が先制のトライ。その後、相手は準決勝まで封印していたお家芸のドライビングモールで攻勢を仕掛け、自陣10メートルラインまで攻め込んできた。ゲーム主将を務めたCTB山崎悠馬(2年)は試合前、「あせらない」「敵陣でプレーしよう」とチームを鼓舞。このピンチに得意のジャッカルでボールを奪って、キックでボールを前線に送ると自ら捕球。右中間にダイブし、チーム2本目のトライを奪った。

圧巻だったのは、前半終了間際の自陣ぎりぎりでの踏ん張りだ。時計の針はすでに終了時間を過ぎていたが、10分以上にわたる相手の攻勢を封じると、またも山崎がジャッカルでボールを奪取。相手の反則でプレーを止めると、ボールを外にけり出し、15人一丸で反撃を封じた。後半21分、またもモールで攻め込まれ、今大会初の失トライを喫したが、試合終了間際、上遠野がこの日、3本目のトライを決め、ダメ押しした。

後輩の頑張りに応え、山崎がこの日、3本目のコンバージョンを成功。と同時に、勝利を告げるノーサイドの笛が鳴った。昨年10月の台風19号で被災した自校グラウンドの全工事が終了。地元開催の東北舞台に向け、小松監督は「これまでやってきたことの精度を上げたい」ときっぱり。初戦は過去、花園最多優勝を誇る秋田工業が相手だ。山崎は「フィジカルが強いという印象。しっかりとアタックを仕掛け、勝利をつかみたい」と意気込む。10年ぶりの全国選抜まであと2勝。強豪ひしめく東北の舞台で、コバルトブルーの旋風を巻き起こすつもりだ。

写真は、決勝・磐城―松韻福島戦。磐城は前半24分、相手モールのボールを奪ったCTB山崎(右)がキックで前に出したボールを自ら捕球し、チーム2本目のトライ=19日(クリックで拡大)

■「島耕作」に託された地方創生弘兼さん Jヴィレッジで特別講演

「島耕作」シリーズなど、多くのヒット作を持つ漫画家の弘兼憲史さん(72)が19日、楢葉町のJヴィレッジで、特別講演会「島耕作からみる地方創生とは」を行った。弘兼さんは東電福島第一原発事故からの復興にも心を寄せ、島耕作シリーズでも事故後の社会を描いている。

特別講演会は、福島大が原発事故を契機に、相双地区とつながりを持つ拠点として発足した「相双地域支援サテライト」が、双葉郡の中堅職員と討議した中で、弘兼さんを講師に招くことを決めた。

弘兼さんは地方創生の考えとして、島耕作シリーズにも登場した、超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致計画を説明した。ILCは岩手、宮城両県境の北上山地が有力候補地となっている一方、学術団体との兼ね合いから計画が進まない現状を踏まえ、大手重工業メーカーの役員から「後押しのために、漫画に登場させてほしい」と要望されたと明かした。

計画が実現すると、長期にわたって外国人技術者やその家族、関連企業が来日するとし、弘兼さんは「東京五輪や大阪万博と比べものにならない経済効果」と強調した。

また、弘兼さんは高齢化社会のあり方にも言及し、自宅で亡くなる在宅死の普及や環境整備について語った。自らも父親の最期をみとった体験から、胃ろうによる延命の是非を提起。その人らしい人生の終末を、もっと考える社会であるべきと説いた。

写真は、地方創生について多岐にわたる角度から語る弘兼さん=19日(クリックで拡大)