2020年1月18日(土)

■「お浜下り」記録すべき無形文化財に 国の文化審が答申 いわき市など浜通りで伝承

国の文化審議会(佐藤信会長)は17日、いわき市を含む浜通りに伝わる「浜通りのお浜下り」について、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財として選定するよう、宮田亮平文化庁長官に答申した。お浜下りはいわき市や双葉郡、南相馬、相馬市、相馬郡の11市町村で伝承されており、東日本大震災・東電福島第一原発事故の発生や、少子高齢化の進行で、伝統が途絶えつつある状況を踏まえ、記録を残すべきと判断された。

浜通りのお浜下りは神が至り着き、現れたとされる海浜を巡る漂着神伝承による祭事で、海に神輿(みこし)を奉じたり、海水を汲(く)んで供えたりする。

神輿の海中渡御など浜下りは全国各地で見られるが、浜通りの場合、タテバと称する御旅所(おたびしょ)や斎場の設け方に加え、付帯する諸芸能も含め、日本の浜下りに関する祭祀(さいし)のあり方や、変遷を理解する上で注目される存在という。

いわき市でも北は久之浜・大久地区から、南は勿来地区まで広く残るが、平菅波の大國魂神社の「お潮採り神事」では、神輿を深く海につからせるため、浜下りの最も古い形とされている。

市によると、5月4日の本祭りに合わせ、神輿にご神体を移し、氏子の青年の手によって、平豊間の浜を目指す。このご神体は平豊間から流れ着いたいわれを持ち、浜下りをしないと、不漁になったり、悪疫がはやると言われている。

一方、震災・原発事故の影響もあって、見送られている浜下りもある。四倉町の四倉諏訪神社でも5月4日の例大祭に際し、四倉海水浴場で神事とともに、神輿の海中渡御を実施し、大漁を願っていたが、震災前年の平成22年を最後に中止している。

清水市長は「近年は廃止や規模の縮小も確認されている中で、この祭事の重要性を再認識する契機となるもので、大変意義深い。本市としては、お浜下りを含む地域の祭事を確実に継承し、未来に受け継いでいけるよう取り組む」とのコメントを寄せた。

写真は、大國魂神社で行われている神事=「いわき市の文化財」より(クリックで拡大)

■最後のセンター試験始まる 医療創生大では1172人志願

今年で最後となる大学入試センター試験が18日、全国一斉に始まった。19日までの2日間の日程で実施され、初日は地理歴史・公民、国語、外国語、2日目は理科、数学が行われる。センター試験は平成2年に導入され、今年は過去最多となる全国の国公立大や私大、短大計858校が利用している。志願者数は前年と比較し、1万9131人少ない55万7699人。

県内は7会場が指定されており、6760人(前年比137人減)が申し込んでいる。いわき市は中央台飯野の医療創生大が会場で、1172人(同29人増)が志願しており、キャンパスでは教職員などの激励を受け、教室に向かう高校生らの姿が見られた。

午前9時すぎから、教室では注意事項の読み上げとともに、問題用紙や解答用紙の配布が進められ、受験生は緊張した面持ちを浮かべていた。来年度からは制度が変更され、後継の大学入学共通テストが始まる。

新常磐交通は19日、医療創生大での大学入試センター試験に合わせ、JRいわき駅から引き続き、「医療創生大」行きの臨時バスを運行する。 時間は午前7時40分発・7時57分着、同7時55分発・8時12分着。いずれも乗り場はバスターミナル内の「いわき駅6番のりば」。料金は320円。途中の停留所には停車しない。

写真は、試験の準備が進められる医療創生大=18日(クリックで拡大)

■県高校新人ラグビー 磐城は4年ぶりに王手 あす決勝

県高校新人体育大会ラグビーフットボール競技(県ラグビーフットボール協会主催)は大会3日目の18日、いわきグリーンフィールドで準決勝を行った。いわき勢で唯一、4強入りを決めた磐城が前後半合わせて、2試合連続となる2桁の12トライを奪い、安積に72―7で快勝し、4年ぶりの優勝に王手をかけた。

磐城は開始4分、LO松ア宙大(2年)が相手ディフェンスをこじ開け、敵陣中央に先制トライ。その後もCTB山崎悠馬(同)が2トライ、2度のドライビングモールで加点し、31―0で前半を折り返した。後半も攻撃の手を緩めず、大量7トライを奪って圧倒。安積の反撃を1トライ、1ゴールの7失点で封じ、決勝に名乗りを上げた。

大会は19日に最終日を迎え、決勝と第3代表決定戦を行う。決勝は午前11時45分試合開始予定。磐城は4年ぶりの県頂点をかけて、花園出場校の郡山北工業を撃破し、決勝にこまを進めた松韻福島と対戦する。

写真は準決勝・磐城―安積戦。磐城は前半4分、LO松アが相手ゴール中央に先制のトライ=18日(クリックで拡大)

■豚コレラ・鳥インフルを防げ いわき地方の防疫演習開かれる

県いわき農林事務所、県中央家畜保健衛生所主催の令和元年度「いわき地方特定家畜伝染病防疫演習」が17日、いわき市民プール棟で行われた。

演習はいわき地方で特定家畜伝染病のCSF(豚コレラ)、高病原性・低病原性鳥インフルエンザが発生したことを想定し、生産者、防疫作業協力機関・団体などから約160人が参加した。

前半は同事務所、衛生所職員が伝染病の概要、発生時の対応、家畜防疫作業などの講義を実施。後半は車両の消毒作業体験、集合センター、農場隣接テントでの業務、豚の追い込み作業の演習を実施した。

参加者は演習を通じ、市民、畜産物を保護する防疫技術の習得、安全意識高揚に努めた。

写真は、車両の消毒作業体験=17日(クリックで拡大)