2020年1月16日(木)

■ハワイアンズに新ホテル 少人数対応 新たな需要で復興に寄与

常磐藤原町の温泉レジャー施設・スパリゾートハワイアンズを運営する「常磐興産」は15日、ハワイアンズ敷地内に、新ホテル「カピリナタワー」を開業すると明らかにした。新ホテルは令和4(2022)年7月にオープンを予定しており、1人客や2人客といった新たな顧客獲得を目指していく。15日でハワイアンズは開業55年目となったが、井上直美代表取締役社長は「インバウンド(訪日外国人)も見据え、多様なニーズに応えていきたい」と展望を語った。

カピリナは、ハワイ語で「親密」「つながり」などの意味を持つ。来訪者同士の関係を深めるとともに、スタッフとも心つながる場にしてほしいとの願いを込めた。コンセプトは「ハワイアンズ・コンフォート」。55年の歴史で培ったハワイアンズ流を生かしながら、心地よさや快適さを提供していく。

新ホテルは11階建て。総客室数は264室で、トップグレードの「クラブフロア」は24室、メインの「スーペリアフロア」は240室。延べ床面積2万3313平方メートル(7052坪)。敷地東側の旧ゴルフ場の空き地を活用する。

クラブフロアは各室広さ約55平方メートルのツインルームで、露天風呂や専用ダイニング、個別の案内役(コンシェルジュ)などのサービスが提供される。既存のハワイアンズのホテルを含め、最もグレードが高い。専用の入り口も設けられる。予定価格は3万円台から。

スーペリアフロアは各室広さ約27平方メートルのツインルームで、ベッドの追加にも対応。クラブルームに次ぐグレードで、シンプルでモダンのつくりとなっている。予定価格は2万円台から。

豊富な湯量を背景に、趣の異なる2つの露天風呂付き大浴場を設置。ラウンジスペースには、バーカウンターも併設し、夜はお酒を飲みながら、ゆったりとしたフラも鑑賞できる。

総工費は120億円。年間で集客16万8千人、売り上げ35億円を見込んでいる。ハワイアンズはカピリナタワーの整備によって、ホテルは4つ(計726室・2528人)となる。

既存のハワイアンズのホテルは団体客が主流だったが、東日本大震災・東電福島第一原発事故からの復興を踏まえ、井上社長は「ハワイアンズが取り込んでいない層に来ていただき、浜通りの活性化につなげていきたい」と話している。

イメージは、最もグレードの高いクラブフロアの客室(クリックで拡大)

■井上社長 新ホテル展望 ウオーターパーク改修も示唆

常磐藤原町のスパリゾートハワイアンズを運営する「常磐興産」の井上直美代表取締役社長が15日夜、報道各社の取材に応じ、令和4(2022)年7月にオープン予定の新ホテル「カピリナタワー」についての展望などを語った。

井上社長は、ハワイ語で「親密」「つながり」などを指すカピリナの意味を紹介した上で、ロゴマークには日本の桜と、ハワイ州の花・ハイビスカスをあしらい、それを髪にまとうフラガールが、遠い将来を見据えている様子を描いたと明らかにした。

カピリナタワーは主な客層に、1人客・2人客を想定している点に関しては、「どうしてもハワイアンズは、団体客が主流だった。ただお客さまから『食事をゆっくりしたい』『プライベートの空間がほしい』『個室の露天風呂はないのか』といった声が寄せられ、そうした多様化するニーズに応えた」と話す。

既存のホテルを団体旅行や修学旅行に活用しながら、カピリナタワーは高級路線で展開。富裕層を念頭に、訪日外国人(インバウンド)の需要も見極めており、井上社長は「ベトナムやタイなどの旅行業者と提携を進めているので、今後ますます引き合いが増えるのでは」と述べた。

将来の施設のあり方を問うと、井上社長は業務の効率化を通じ、人口減少社会でも運営を維持できる体制をつくっていくと説明した。

さらに平成25(2013)年6月の社長就任以来、外部負債との兼ね合いから、流れるアクアリウムプール「フィッシュゴーランド」、ボディースライダー「ビッグアロハ」の整備にとどまったと指摘。「遊びの場を拡大していくため、現状でいっぱいいっぱいの(メインプールの)ウオーターパークをどうにかしたい」と改修等を示唆した。

写真は、カピリナタワーのロゴを前に語る井上社長=15日(クリックで拡大)

■ハワイアンズ 夜のショーリニューアル 挑戦する魂表現

常磐藤原町のスパリゾートハワイアンズは15日、夜のポリネシアンショーをリニューアルした。初日から、スパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム(フラガール)による力強い踊りが披露され、平日ながら多くの来場者でにぎわった。

新ショーは、ハワイアンズが昭和41(1966)年1月15日に開業したことから、55年目の記念として、タイトルに「魂〜TRY TRY TRY」と銘打ち、何事にも挑戦するハワイアンズのスピリット(魂)を表現している。

大きく2つのパートに分かれており、前半は「55年の軌跡」として、投影された懐かしい映像を背景に、常磐炭鉱節がモチーフの「炭鉱タヒチ」など、かつて人気だった演目が登場する。また映画「フラガール」や、東日本大震災の発生後に各地を回った「全国きずなキャラバン」に登場する楽曲も盛り込まれ、これまでの歩みを伝えている。

後半は「新たな旅立ち」をテーマに、先輩フラガールから引き継いだ思いを胸に、ハワイやタヒチ、サモアの踊りを展開。フィナーレを飾る定番の「フラガール〜虹を〜」では、ロックテイストの新たなアレンジも施されている。

夜のショーはハワイアンズのビーチシアターで行われ、毎日午後8時40分から(約1時間)。

写真は、炭鉱作業員や選炭婦を模した「炭鉱タヒチ」=15日(クリックで拡大)

■市内男児が先天性風疹症候群 保健所が抗体検査呼びかけ

県は15日、感染症発生動向調査週報(6〜12日)を公表し、いわき市の0歳の男児が、先天性風疹症候群にかかっていると明らかにした。県内での報告は2例目で、平成24(2012)年以来。

県や市保健所によると、男児は風疹にかかった母親から生まれ、診察した医師が届け出た。男児には先天性の難聴があり、検査の結果から判明した。男児の母親のワクチン接種歴は調査中。 妊娠中に母親が風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんに心疾患や難聴、白内障等の障がいが生じる場合がある。

市保健所では公的なワクチン接種を受ける機会が無かったとして、昭和34〜53(1959〜78)年度に生まれた男性を対象に、風疹抗体検査と予防接種を公費で行っており、クーポン券を送付している。また妊娠を希望する人やその夫、家族向けにも、風疹抗体検査に加え、抗体価が低い人に対する予防接種を公費負担で実施している。

市保健所の担当者は「風疹は他の人にも影響するので、対象の男性や、妊娠を希望する人の家族も一度調べてほしい」と話している。問い合わせは、市保健所総務課感染症対策係=電話(27)8595=まで。