2019年12月31日(火)=休刊日

■ぽかぽか一転ぶるぶる いわきの大みそか 岡山・真備から年越しそばの便り

令和最初の大みそか。31日のいわき地方は南から暖かい空気が流れ込んだ影響で、昼間はぽかぽか陽気となったが、夕方にかけて強風に見舞われ、日が落ちてからは一気に気温が下がっている。

福島地方気象台によると、小名浜の日中の最高気温は17・3度。記録が残る明治43(1910)年以降、12月31日としては1番の暖かさとなった。これまで最も高かったのは、大正3(1914)年の15・7度だった。

一方、冬型の気圧配置が強まったため、小名浜では午後5時11分に、最大瞬間風速26・6メートルと、台風並みの強い風が吹き荒れた。

来年1月1日朝の最低気温は1度の見込み。ただ、いわき市の沿岸部では初日の出は期待できそうだ。海上保安庁によると、塩屋埼灯台では午前6時48分が日の出の時刻となる。暖かい服装で出かけてほしい。

[温かい支援に笑顔広がる 内郷コミセン]

10月にいわき市を襲った台風19号によって、市内唯一の避難所・内郷コミュニティセンターでは、31世帯69人が身を寄せたまま新年を迎える。

こうした現状を受け、昨年7月の西日本豪雨で、51人が亡くなった岡山県倉敷市真備町から、三たびNPO法人が駆け付けた。3度目の来市となったのは、災害支援団「Gorilla(ゴリラ)」。8人のスタッフが参加し、200食分の年越しそばと、正月用のぜんざいを用意した。

ゴリラは台風19号の発災直後から支援に入り、長期にわたっての炊き出しや毛布の提供、浸水した住宅に対するアドバイスなどを展開してきた。

率いるのは、代表理事の茅野匠さん(47)。西日本豪雨での経験を踏まえ、「避難所に、被災した人が取り残されてはいけない。皆さんは一人ではないということを伝えに来た」と語る。

持参した年越しそばにもこだわりが。茅野さんが地元の名店に教えを請い、サバやカツオ、利尻昆布を使った出汁(だし)の作り方を学んできた。きょうも朝から8時間かけて水出しし、名店のそばを再現した。

内郷コミュニティセンターで年越しを余儀なくされた市民も、この味には思わず笑顔になった。内郷御台境町の矢澤正美さん(42)はアパートが水没する被害に遭い、生活再建に追われているが、「おいしいそばをいただいたので、良い年越しになりそうです」と話していた。

写真は、ゴリラによる年越しそばの振る舞い=31日夕方(クリックで拡大)