2019年12月28日(土)

■台風19号 市内避難所は内郷コミセンに集約 市の年内目標達成

台風19号と続く大雨に伴い、いわき市に設置された避難所は28日、内郷コミュニティセンターのみとなった。同日午前9時58分をもって、もう1カ所の中央台公民館から、最後の市民が退去したためで、市が進めていた年内の避難所集約は達成された。27日午前6時時点で、内郷コミュニティセンターには38世帯・80人が残っており、31日までに退去する人を除き、多くが避難したまま年を越すことになる。

市では台風19号の襲来に先立ち、10月12日午前に避難所を開設した。市によると、翌13日午前1時の時点で、市内57カ所に設けられた避難所に、3018世帯・6968人が身を寄せた。

27日午前6時の時点で市内に残った避難所のうち、中央台公民館には8世帯・22人がいたが、いずれも新たな生活先が見つかっており、内郷コミュニティセンターに移った人はいなかった。

市の責任者は「和室や会議室、体育館といったすべての部屋を開放し、被災された方を受け入れた。皆さん協力していただいたので、スムーズに避難所の運営ができた」と振り返る。

ただ館内では10月31日までに、23人のノロウイルス感染者が確認された。市では保健師や看護師を配置し、体調不良者がいないか随時相談に当たったほか、清掃活動を徹底させた。

28日は避難した市民の退去後、市職員が後片付けを行った。ノロウイルスが発生したことも踏まえ、専門の業者による消毒も予定しており、現時点での一般利用再開は未定だが、来年1月中を見込んでいる。

写真は、避難した市民が退去した中央台公民館。職員が後片付けを行っている=28日(クリックで拡大)

■アクアマリン 新品種金魚「ゼブラオーロラ」展示中

ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」では、11月に新品種として発表されたばかりの金魚「ゼブラオーロラ」の展示を、生きた芸術金魚の常設展示施設「金魚館」でスタートさせた。

同種は、埼玉県坂戸市で金魚養殖を手掛ける木村養魚場の木村豊さんが品種改良し、繁殖に成功させた金魚で、「オーロラ」品種のように長く伸びたヒレと黒白黄色の縞(しま)模様が特徴。飼育数が極めて少なく、三色の縞模様が出るのは大変珍しいという。

国内でも見ることができるのは同館のみで、今回展示を始めたのは、飼育年数3年半、全長約25センチの大型個体。木村さんが手掛けた希少なオリジナル品種「キラキラ」「玉黄金」も展示されており、来場者たちは水槽を悠々と泳ぐ凛々(りり)しい姿をじっと見つめ、目を輝かせていた。

写真は、館内で展示されている様子(クリックで拡大)

■冬の夜空に七色彩る 東北電力の無線鉄塔

東北電力いわき電力センターは来年1月7日まで、平字作町一丁目の無線鉄塔の年末年始ライトアップを行っている。

配色は赤、オレンジ、黄色、黄緑、緑、青、紫の7種類で無線鉄塔の四方からそれぞれ違う色を点灯、絶え間なく変化させながら、グラデーションを生み出し、いわきの夜を華やかに彩っている。点灯時間は午後5〜10時。

写真は、期間限定配色となっている無線鉄塔(クリックで拡大)

■「ただいま」の声次々と いわき市でも帰省ラッシュピーク

年末年始を古里や行楽地で過ごす人の帰省ラッシュが28日、いわき市でもピークを迎えている。JRいわき駅では常磐線下り特急列車が到着すると、大きなかばんや土産物を持った乗客が次々と降り立ち、改札前では待ちわびた市民らの姿であふれていた。

常磐道いわき中央IC(インターチェンジ)では、東京・仙台方面いずれからも、他県ナンバーの車両が料金所を続々と通過していった。

帰省ラッシュは、30日まで続くとみられる。Uターンラッシュは、来年1月3日から4日にかけてがピークの見通し。

28日午後1時半現在、JR東日本によると、常磐線の下り特急列車は空席あり。年明けの上り特急列車も、一部を除いて余裕がある。

日本道路交通情報センターによると、いわき市の常磐道・磐越道は年末年始、5キロ以上の渋滞は発生しないとされる。なお来年1月2日午後5時ごろ、常磐道三郷ジャンクション(JCT)=埼玉県三郷市=付近を先頭に、20キロの渋滞が予測されている。

■平工ラグビー部 福島県の復興PR 花園でも

県教委の「『ふくしまの未来』へつなぐ体験応援事業」の一環として、平工業高ラグビー部は28日、同校を出発し、大阪府の東大阪市花園ラグビー場でラグビー観戦予定の30日までの3日間、移動の道中、都内や大阪市内で東日本大震災からの本県復興をPRする。

同事業は、次代の福島をリードする人財育成を目的とし、「復興から、力強い歩みで、地域の復興とみんなを元気にしよう!『ONE TEAM』」「STAND UP TAKE ACTION」の2大プロジェクト。

部員たちは大震災からの復興状況などを調査した。一昨年は宮城県・加美町で同様の事業を展開。両県のり災状況などを確認し合い、ラグビーを通して、交流を深めた。部員たちはこれらの活動の成果をA3フルカラー三つ折りのリーフレットにまとめた。助成金120万円を活用し、1300部製作した。

初日の28日は東京都府中市の東芝府中グラウンドで、本県出身の大野均やラグビー日本代表のリーチ・マイケルらが在籍する東芝ブレイブルーバスとトヨタ自動車ヴィルブリッツのトップリーグの練習試合を観戦。会場でリーフレットを配布し、福島の復興をPRした。

29日に大阪入りし、大阪商業大高グラウンドで、リーチの母校・札幌山の手高ラグビー部や地元大阪のラグビー部員たちと交流試合を実施。リーフレットの配布のほか、本県産リンゴの試食会や、いわきの食材がふんだんに入ったとん汁などを振る舞う。

このほか、寄せ書き用の「ONE TEAM」と大きく書かれたメッセージボードを用意。ボールの交換も予定している。

最終日の30日は大阪府の東大阪市花園ラグビー場でラグビーを観戦。自分たちが出場の夢が叶わなかった聖地でプレーするライバルたちのプレーを楽しむほか、会場でリーフレットを配布し、本県の復興を広く全国に発信する。

本県復興のPRのほか、花園予選の直前、台風19号の影響による断水で約1週間の休校を余儀なくされながらも、甚大な水害を受けた好間町や平下平窪地区など計5カ所で、ボランティア活動を実施した体験談などを伝える。