2019年12月26日(木)

■福島第二の廃炉向けて 市・東電が安全協定結ぶ

市と東京電力は26日、福島第二原発(楢葉、富岡町)の廃炉に向け、周辺市町村との安全確保に関する協定を締結した。安全協定は福島第二原発の廃炉が正式決定したためで、作業の中で新たに施設を新増設する際には、事前に説明することなどを明記した。

この協定は同日、県、田村、南相馬市、川俣、広野町、川内村、大熊、双葉、浪江町、葛尾、飯舘村とも交わされた。また同日には地元の理解を得るため、楢葉、富岡町、県、東京電力の4者でも、安全確保の協定を結んだ。トラブル発生時の迅速な通報などを定めている。

いわき市を含む周辺市町村との協定では、福島第二原発の廃炉に当たって、それぞれの住民の安全を確保し、東京電力としての責務を盛り込んでいる。

福島第一原発事故を契機に、福島第二原発が廃炉に至った特殊性を踏まえ、両原発の廃炉を総合的に進めていくほか、周辺市町村に取り組みを丁寧に示すとしている。

東京電力は7月、福島第二原発の廃炉を正式に発表した。廃炉作業には少なくとも40年かかるとされる。

写真は、福島第二原発の構内。4号機の使用済み燃料プールの様子(クリックで拡大)

■元横綱・貴乃花さんサンタ姿で慰問 内郷コミセン

大相撲・元横綱貴乃花の貴乃花光司さんが25日、いわき市にボランティア活動に訪れ、台風19号で被災した市民を元気づけた。貴乃花さんは25日のクリスマスにちなみ、内郷コミュニティセンターでは、サンタクロースの格好に扮(ふん)して登場し、避難生活を送る人を癒やした。

貴乃花さんの来市は、東京・銀座で歯科医院を営む西山謙三さん(久之浜町出身)との縁で実現した。貴乃花サンタが突然現れたことに、内郷コミュニティセンターに身を寄せる人は驚きを隠せなかったが、おもちゃや生活用品のクリスマスプレゼントが配られると、子どもからお年寄りまで笑顔を見せていた。

また貴乃花さんは気軽にサインにも応じ、記念撮影の時間も設けられた。ボランティア活動に当たって、貴乃花さんは「何にもできない自分だが、少しでも役に立ちたい思いで来た。クリスマスの日なので、一瞬でも被災者の皆さんにとって、楽しい思い出になったらうれしい」と語った。

内郷コミュニティセンターに先立ち、貴乃花さんは久之浜こども園も訪問し、地元の子どもたちとの交流に臨んだ。

写真は、サンタに扮してサインに応じる貴乃花さん=25日午後(クリックで拡大)

■聖火リレーの県公募枠 山中さん(川内村)もいわき市ゆかり

2020年東京五輪の聖火リレーランナーについて、県内59市町村にゆかりのある各1人を決める「公募枠」のうち、川内村の山中力さん(56)も、いわき市ゆかりのランナーだったことが26日、分かった。

山中さんは川内村在住で、聴覚に障がいを持ちながらも、いわき市鹿島町飯田のいわき開成病院に勤務している。東電福島第一原発事故による避難指示の解除後、いち早く帰村し、「がんばっぺ・福島・川内」と書かれたTシャツを着ながら、各地のフルマラソンに参加し、川内村をアピールしてきた。

県の公募枠は25日、東京五輪の県実行委員会によって公表された。

■健康長寿の連携協定締結へ いわき、長野・佐久

いわき市は来年1月27日、長野県佐久市と「市民の健康長寿の実現に関する都市連携協力協定」を締結する。いわき市が25日、正式に明らかにした。

協定では相互に人的交流を行い、保健・医療・福祉の分野で先進的な事業や施策を調査・研究することで、専門職員の育成などもしつつ、市民の健康増進や健康長寿の実現を図っていく。

佐久市の蜩c清二市長が9月、鹿島町久保のパレスいわやで、清水市長の後援会主催によるセミナーに登壇した際、いわき市と協定を結ぶ方針を示していた。

蜩c市長によると、佐久市は減塩運動や冬季の暖房推進によって、死因で多かった脳卒中のリスクを低減させた歴史を持つ。平成27年には、女性の平均寿命(88・4歳)が長野県1位、全国1718町村の中でも11位を記録した。

佐久市は人口9万8957人(10月1日現在)。高齢化率はいわき市とほぼ同じ30・10%(4月1日現在)。

清水市長は、今年を「いわき市健康元年」と位置づけており、市民の健康指標の改善に向けた取り組みを進めてきた。協定では佐久市の良さを取り入れ、より上向かせる狙いがある。一方、いわき市は地域包括ケアの点で優れた部分があり、ノウハウを佐久市に伝えていく。

■赤井郵便局 2カ月ぶり再開 地域住民待ちわびる

台風19号の被害を受け、10月15日から一時閉鎖していた、平赤井の赤井郵便局(渡部欣也局長)が25日、全面再開、営業開始と同時に多くの地域住民が利用に訪れた。

赤井郵便局は、平成6年に開局。業務のほか定期的に写真展などを開き、地域に密着した施設として住民らに親しまれている。これまで災害には見舞われなかったが、台風19号で夏井川が決壊し、床上20センチまで浸水。保管中のはがき、切手、書類、全ての機器類、回線などが水没した。

内装の全面改修など復旧を急ぎ、再開にこぎつけた。平赤井の西山仲子さん(78)は「遠くの郵便局へ行くのに大変だったので、再開は本当に助かります」と笑顔を見せていた。

渡部局長は「今月の年金支給日前に再開したかったが、年内に再開できてよかった。今後も地域の皆さんに寄り添える郵便局として努めていきた」と話した。