2019年12月21日(土)

■伝承郷で正月飾りづくり 一年の無事願って

今年も残り10日。新年を迎えるに当たって、県立いわき公園内の市暮らしの伝承郷で21日、正月飾りづくりのワークショップが行われた。

ワークショップには、市民ら20人あまりが参加し、玄関に掲げる正月飾りを、藁(わら)を編むところから始めた。束にした藁からしめ縄をつくり、紙垂(しで)を付けた上で、縁起物の南天を添えて完成させた。

参加した人は藁を編むのに少々てこずりながらも、丁寧に進めていき、わが家の入り口に掲げて一年の無事が願えるよう、熱心に作業に臨んでいた。

写真は、暮らしの伝承郷で行われた正月飾りづくり=21日午前(クリックで拡大)

■市義援金の第1次配分決まる 県と合わせて最大11万2000円

市は20日、台風19号と続く大雨で被災した市民に向け、市義援金の第1次配分が決まったと明らかにした。配分委員会(委員長・新妻英正副市長)が同日、市役所・市災害対策本部会議室で開かれ、第一次配分の対象や単価を決定した。市によると、12日時点で、586件・6998万4200円の義援金が寄せられており、うち被災者生活支援目的の357件・3381万1518円が充てられる。

市は配分対象と単価比率について、県義援金第1配分と同じとした。件数は、11日時点の災害報告書に基づいている。

内訳は、死者(8人=ヘリコプターからの落下は除く)は1人当たり1万2000円、全壊(127世帯)は1世帯当たり1万2000円、半壊・大規模半壊(4680世帯)は同6000円、一部損壊・準損壊・床上浸水(239世帯)は同3000円、10%未満の一部損壊・床下浸水(939世帯)は同1500円となっている。

行方不明者は1人当たり1万2000円、重傷者は同6000円としたが、いわき市には該当する人はいない。

この結果、県の義援金と合わせると、いわき市の場合、死者は1人当たり11万2000円、全壊は1世帯当たり11万2000円、半壊・大規模半壊は同5万6000円、一部損壊・準損壊・床上浸水は同2万8000円、10%未満の一部損壊・床下浸水は同1万4000円。

対象者・世帯に対しては、来年1月から県の義援金と一緒に、口座振り込みで支給される。

なお、いわき市では被災救助費救助金を申請する際、救助金以外の給付も可能とするため、委任状を兼ねた届け出の提出を求めており、既に済んでいる人は、新たに申し出る必要はない。

第2次以降の配分に関しては、義援金の受け入れ状況等を踏まえ、配分委員会によって検討していく。

問い合わせは、市保健福祉課=電話(22)7526=まで。

■台風19号の被害踏まえ 24日から検証委員会設置

市は20日、いわき市を襲った台風19号の被害を踏まえ、24日に「いわき市台風19号における災害対応検証委員会」の第1回委員会を開催すると明らかにした。

検証委員会では、いわき市が台風19号によって、夏井川が決壊するなどの甚大な被害を受けた上、9人の死者を出した点を重く受け止め、地域防災計画や災害対応業務が十分に機能したかを把握する。また出された課題は、今後の防災対策に反映させていく。

委員には、学識経験者から、東日本国際大の福迫昌之副学長ら、専門家の立場から、福島地方気象台の鹿野義明防災管理官、地元代表から、下平窪自主防災会の佐藤将文会長ら、計8人が委嘱される。

1〜2カ月に1度に割合で検証委員会は開かれ、当時の状況などを確認し、来年夏にも取りまとめを行う予定。

■台風19号・大雨 観光にも打撃いわき湯本温泉で約2000人予約キャンセル

台風19号と続く大雨は、いわき市の観光にも大きな打撃を与え、いわき湯本温泉では約2000人の予約キャンセルがあったことが分かった。緑川伸幸市特定政策推進監が21日、市役所での県議との意見交換会で示した。

緑川特定政策推進監によると、平下高久のいわき新舞子ハイツは約400人のキャンセル。小名浜の市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」では10月12〜31日の間、40を超える団体が訪れず、観光客は例年の3割減となったという。

■毎月7日は「魚食の日」に 市議会が条例案示す

市議会は20日、魚食の普及を掲げた「(仮称いわき市魚食の推進に関する条例(案)」の素案を示し、毎月7日を「魚食の日」と定めることで、水産物の消費拡大に努める考えを明らかにした。「さかなの」の語呂合わせから、3月7日には市や事業者、消費者が協力し、魚食の日にふさわしい催しも開催する。

条例案は議会改革の一環で、議会による政策立案を目指す中で、検討を進めてきた。条文では単に魚を食べる機会を増やすだけではなく、健康維持や水産資源の維持にも言及。東電福島第一原発事故による風評被害払しょくも視野に入れる。

23日から、市民意見募集(パブリックコメント)を実施する。来年1月14日まで。資料は市議会ホームページ<こちら>、または市議会事務局で公表している。

■山火事予防ポスター 坂本さん(小名浜二中)最高賞の農水大臣賞に輝く

一般財団法人日本森林林業振興会(本部・東京都文京区)主催の令和元年度山火事予防ポスター用原画・標語の審査会が先ごろ行われ、小名浜二中1年生の坂本百霞(もか)さん(12)の作品が原画の中学校部門で最高賞となる農林水産大臣賞を受賞した。

平成21年度以降の記録では、県内からの最高賞受賞は初めてで、坂本さんは驚きつつも「タヌキなどの身近な固有種がすむ森林を守るため、少しでも山火事が減ってほしい」と願いを込めた。

原画は中学、高校の部門が設けられ、本年度は259校から3041点、このうち中学校部門には全国から2413点が寄せられた。

最高賞を受賞した坂本さんは幼少より絵が大好きで、中学校では美術部で活躍。顧問の教諭が「指導に対して素直。芯が強く、理想を抱きつつも柔軟性があり、吸収が早い」と高評価するほどで、坂本さんは環境破壊や外来種により日本の固有種が絶滅の危機に面している現状を憂い、スタジオジブリ制作の人気アニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」をヒントにしてタヌキを主人公に。

奥行きやタヌキの配置、あえて他の動物たちを配置せずに孤独感を出すなど緻密に計算し、「自分の生まれたところがどんどん消え、仲間もいなくなり、悲しく寂しい」というタヌキの感情を表現したという。仕上がりまで1カ月ほどかけた大作で、坂本さんは「すごくうれしかった」と、受賞の報を聞いた際を振り返り笑顔をみせながら、「作品を通じて森林の大切さや固有種を守ろうという意識が高まってくれれば」と期待を込めた。

また、同校2年生の福山裕香子さん(13)と、平三中同の坂本飛龍(ひりゅう)さん(13)の作品も入選を果たした。林野庁は後ほど、坂本さんの作品と高校部門の最高賞のどちらかを山火事予防ポスターとして採用する予定。表彰式は5月中旬に都内で行われる。

坂本さんのポスター(クリックで拡大)