2019年12月18日(水)

■富岡―浪江駅間 きょうから試運転 9年ぶり常磐線全線開通に向けて

東日本大震災・東電福島第一原発事故に伴い、不通のJR常磐線富岡(富岡町)―浪江(浪江町)駅間で18日、列車の試運転が始まった。富岡―浪江駅間の20・8キロは震災で被災した上、原発事故による帰還困難区域を通るが、来年3月の運転再開に向けた準備が進められている。

この区間が復旧すると、常磐線は9年ぶりに全線開通となり、いわき―仙台間の鉄路が再びつながる。関係者によると、沿線の避難指示解除との兼ね合いもあるが、運転再開は来年3月14日を軸に検討されている。

JR東日本水戸支社は18日、報道陣に対し、富岡―浪江駅間の試運転の様子を公開した。試運転は20日までの3日間にわたって、列車を安全に運行するため、線路や電力、信号・通信設備の機能を確認していく。

公開箇所のうち、双葉駅(双葉町)では午前10時18分、下りホームに列車が到着し、3分あまり停車した後に出発した。駅周辺では避難指示解除を見据え、駅舎の橋上駅化と、東西自由通路の整備も行われていた。

もう1カ所の第一前田川橋りょう(双葉町)では、列車が通過する姿が示された。橋りょうは震災によって、上り線側が崩落し、下り線側も橋げたにひびが入った。現在は緊急時のアクセス確保のため、上り線は道路に転用され、下り線のみで運用されているが、新たに橋を架け替えた。

なお再開する富岡―浪江駅間のうち、夜ノ森駅(富岡町)、大野駅(大熊町)、双葉駅の駅周辺は帰還困難区域となっており、JR東日本では駅周辺が、特定復興再生拠点区域(復興拠点)として、避難指示が解除されるのが、運行の前提としている。

帰還困難区域に該当する鉄道設備も合わせて、避難指示が解除される見通し。

写真は、架け替えした第一前田川橋りょうを通過する試運転の列車=18日午前(クリックで拡大)

■来年1月から55周年イヤーの記念事業 ハワイアンズ

常磐藤原町のスパリゾートハワイアンズは来年1月、前身の常磐ハワイアンセンターを含め、開業55年目を迎える。これに合わせ、令和2年を「創業55周年イヤー」と位置づけ、ハワイアンズでは1年を通して、さまざまな記念事業を展開していく。

55周年に向けてのテーマは「ビッグ・スマイル!〜挑みつづけて、55年〜」。スパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム(フラガール)による夜のショーが一新され、原点である「お客さまの笑顔のために、さまざまなことに挑戦する(TRY)」の精神から、タイトルには「魂〜TRY TRY TRY」を掲げる。

前半パートは「55年の軌跡」と題し、初代フラガールも踊った往年の名曲「ブルーカルア」や、民謡「常磐炭坑節」をベースとした「炭坑タヒチ」など人気の演目を復活。プロジェクションマッピングによる映像効果も加え、55年の歩みを表現する。

後半パートでは「新たな旅立ち」をテーマに、先輩ダンサーたちのチャレンジ精神と、サービス精神に負けないくらいの強い思いで踊り、観客とびきりの元気と笑顔を届けていく。新たなショーは来年1月15日から。1日1回。午後8時40分開始。

また創業55周年を迎えるに当たって、記念の東京公演が来年6月3日、東京都港区のメルパルクホールで開かれる。在籍しているフラガール35人全員が出演し、この日1日、たった1回限りの特別な構成を予定しているという。

ハワイアンズを運営する常磐興産では、さまざまな催しも計画しており、今後も順次、55周年に向けての取り組みを発表するとしている。

写真は、新たなショー「魂〜TRY TRY TRY」のイメージ(クリックで拡大)

■いわき市 台風19号・大雨関連に 約45億円の補正予算計上

市は18日までに、台風19号や続く大雨からの復旧などに向け、新たに45億578万8000円の一般会計補正予算を計上することを決めた。

なお給与改定等に伴う職員人件費も上程するため、合計は44億8790万8000円。これら関連する議案13件を、19日の市議会12月定例会最終日に提出する。

復旧関連の主な経費のうち、被災者支援として、農業者の営農再開等に対する「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」に24億1443万2000円。半壊等の被災世帯に関する「被災者生活支援特別給付金」に4億1990万円。被災した市民に貸与する「災害援護貸付金」に3億4920万円。

また避難所運営事業費に4960万円、福祉避難所運営事業費に364万6000円。市小川支所や平窪公民館など公共施設の復旧や、人事派遣職員の負担金などに9億8492万4000円となっている。

■台風19号と続く大雨 災害関連死の申請2件

台風19号や続く大雨を受けて、いわき市では現時点で、災害関連死の申請が2件あることが17日、市への取材で分かった。1人は80歳代男性、もう1人は70歳代女性で、それぞれ家族から申し出があった。市によると、この他にも相談が寄せられているという。

災害関連死の認定に当たっては、医師2人、弁護士2人、医療ソーシャルワーカー1人で構成された市の委員会で審査される。台風19号や続く大雨に関しては、来年1月に開かれる予定。

東日本大震災では、いわき市では137人が関連死と認められたが、その審査を巡っては遺族が納得せず、訴訟に至ったケースもあった。

■県道いわき・石川線 田人町石住の才鉢トンネルで貫通式

田人町石住で17日、県道いわき・石川線の才鉢工区として、工事が進められていた「才鉢トンネル」(延長663メートル、幅員6・5メートル)の貫通式が行われた。

県道いわき・石川線は、小名浜港と中通りの復興拠点を結び、災害時の緊急輸送路として指定されているが、平成23年の東日本大震災の余震に伴う地滑り、豪雨に伴うのり面崩落などで長期の通行止めを余儀された。

才鉢工区は、大規模災害でも寸断されない道路ネットワークを形成する目的を持っている。このうちトンネルは平成29年度から、福浜大一建設、常磐開発、クレハ錦特定JV(建設工事共同企業体)との協力で工事が進められていた。

貫通式には工事関係者、いわき市、古殿町などから約100人が出席。県いわき建設事務所の諏江勇所長、福浜第一建設の佐藤毅代表取締役、常磐開発の薄井岩夫常務取締役、クレハ錦の木田淳代表取締役社長が発破ボタンを押したあと、貫通された出口が披露された。

式典に当たって、諏江所長が「才鉢工区の一日でも早い完成に取り組み、県道づくりと復興の礎となる社会基盤の整備を着実に進めていきたい」とあいさつ。沿線首長として、清水市長、古殿町の岡部光徳町長、石川町の塩田金次郎町長が来診祝辞を述べた。

施工者を代表し、佐藤氏が「まだ工事途中であり、残された期間を無事故無災害で工事を完遂し、地元の皆さんの期待に応えていきたい」と述べた。才鉢工区は来年初頭の完成を目指している。