2019年12月17日(火)

■県内聖火リレールート発表 いわき市は陸上競技場―アリオス前

県は17日、2020年東京五輪の聖火リレーについて、県内25市町村のルートを発表した。聖火リレーは来年3月26日、東日本大震災を踏まえた復興五輪の理念から、東電福島第一原発の廃炉拠点から再生した「Jヴィレッジ」(楢葉、広野町)から始まる。

来年3月28日までの3日間をかけて、福島県を回るコースとなっており、いわき市には初日に入り、平中心市街地で広く市民に披露していく。

いわき市の聖火リレーは、平下荒川のいわき陸上競技場を起点に、平野球場方面に進み、市道十五町目・若葉台線(旧鹿島街道)を北上。いわき平競輪場を左手に、いわき駅前大通りに向かう。

JRいわき駅前の交差点を左折し、並木通りからレンガ通りを南下。平中央公園に市役所側から入り、いわき芸術文化交流館「アリオス」前を終点とする。距離は約5・0キロとなる。

聖火は来年3月12日、五輪発祥の地・ギリシャのオリンピアで採火式が行われる。日本には同20日に到着し、航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)に迎え入れる。

到着後は「復興の火」と銘打ち、震災で被災した宮城、岩手、福島の3県で巡回展示をする。聖火リレーが始まる前日の来年3月25日、いわき市の復興を象徴する場として、小名浜のアクアマリンパークで、「復興の火」の最後を飾る。

ランナーは大会スポンサーごとに、内定者が順次明らかになっているほか、25日には県公募枠59人が公表される。

自治体ごとの聖火リレーの時間は来年1月に、ルート内で聖火を引き継ぐポイント等は本番2〜3週間前に、それぞれ示される方針。

地図は、いわき市の聖火リレールート(クリックで拡大)

■県内聖火リレー 自治体ごとに特色ある内容に

17日に発表された、県内の聖火リレールート。来年3月26日に楢葉、広野町のJヴィレッジをスタートした後、3日間をかけて県内25市町村を駆ける。

初日は浜通りで実施し、相馬野馬追で使われる南相馬市の雲雀ケ原祭場地まで。2日目は相馬市から、野球・ソフトボールの会場となる福島市を経由し、会津若松市の鶴ケ城へ。3日目は会津地方や県南から、郡山市の開成山公園に至り、栃木県に引き継がれる。

47都道府県の857市区町村を回り、震災に関係する場所や、世界遺産や日本を代表する景勝地も通る。約1万人のランナーによって、聖火は来年7月24日の開会式に合わせ、東京都新宿区の国立競技場に届けられる。

県内の聖火リレーは、自治体ごとに特色が表れている。浪江町では、浜通りに新たな産業集積を目指す「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」にちなみ、福島ロボットテストフィールドと、福島水素エネルギー研究フィールドの間を走る。

新地町では、震災の津波による被害から再興した海岸として、釣師(つるし)防災緑地公園がゴールに。猪苗代町では猪苗代スキー場が舞台だ。

県内25市町村の出発・到着地は次の通り。

【1日目】▽楢葉・広野町=Jヴィレッジ9番ピッチ―Jヴィレッジ駅前▽楢葉町=楢葉町役場―みんなの交流館「ならはCANvas」▽広野町=ふたば未来学園中・高―広野駅東口前▽いわき市=いわき陸上競技場―いわき芸術文化交流館「アリオス」前▽川内村=富岡消防署川内出張所―川内中▽富岡町=富岡駅前―富岡一中▽大熊町=常磐道高架下付近―大熊町役場本庁舎▽葛尾村=みどりの里ふれあい館―葛尾村復興交流館「あぜりあ」▽浪江町=福島ロボットテストフィールド(浪江滑走路・滑走路附属格納庫)―福島水素エネルギー研究フィールド▽南相馬市=南相馬市役所―雲雀ケ原祭場地

【2日目】▽相馬市=相馬中村神社―相馬駅前▽新地町=観海堂公園―釣師防災緑地公園▽飯舘村=飯舘村交流センターふれ愛館―いいたて村の道の駅「までい館」▽川俣町=とんやの郷―山木屋中▽福島市=信夫ケ丘競技場―県庁西庁舎前県民広場▽猪苗代町=猪苗代スキー場・はやま第3ファミリーリフト横―はやま中央駐車場▽喜多方市東四谷入口交差点(おたづき蔵通り)―喜多方プラザ文化センター駐車場(蔵の里前)▽三島町=三島中―三島町観光協会駐車場、三島町第一只見川橋梁展望台(スポットD)▽会津若松市=馬場道下交差点(中央通り)―鶴ケ城公園市営駐車場(鶴ケ城西出丸)

【3日目】▽南会津町=びわのかげ運動公園健康交流センター―南会津町消防団田島支団第1分団第1部▽下郷町=大内宿・駐車場―食堂前▽白河市=白河市総合運動公園陸上競技場―白河小峰城▽須賀川市=栄町東交差点(県道須賀川・二本松線)―須賀川市役所▽田村市=都路大橋付近―古道体育館▽本宮市=白沢公民館前ふれあい夢広場―英国庭園▽郡山市=郡山駅西口駅前広場―開成山公園自由広場

■最先端IGCC きょう専用乗入道開通式 来年度の運転開始目指す

来年度の運転開始に向け、岩間町で整備が進められている世界最新鋭の石炭ガス化複合発電(IGCC)。

燃料の石炭運搬車両の増加が今後見込まれることから、常磐共同火力(本社・東京都千代田区)ではこのほど、市街地の渋滞解消に向け、勿来発電所敷地内から国道6号常磐バイパスに繋(つな)がる全長182メートル、車幅3・25メートルの運搬車両専用乗入道を完成させた。

今回完成した乗入道の上り側には現在、小名浜港で石炭を積載した運搬車両を常磐共同火力勿来発電所に誘導する専用道路が設置されている。

同社によると、運搬車両の通行量は1日あたり1200台ほどだが、IGCCの運転開始に伴い約400台の増加が見込まれる。東港地区石炭ターミナル整備が進む小名浜港に向け、空荷の大型車両が市街地を通行することで渋滞等が懸念されることから、同社では同発電所の敷地内を通り直接国道6号常磐バイパスにアクセスする道路を開設した。昨年7月10日に着工し、竣工(しゅんこう)は今年11月29日。

17日午前には専用乗入道に繋がる同発電所敷地内のアクセス路で開通式を行い、同社と協力会社の従業員と国交省、いわき南署、市、地元行政区の関係者約30人が神事を執り行い、交通の安全と地域経済のさらなる発展を願った。

施主として出席した小泉俊彰取締役社長は、IGCCの運転開始が福島の復興と地球環境問題に貢献できると前置きし、「地域の発展とエネルギーの未来に繋がる大切な道路。地域発展に向け尽力したい」と乗入道の開設意義を語った。

このあと、小泉社長をはじめ、国交省東北地方整備局磐城国道事務所の菅沼真澄所長、同整備局小名浜港湾事務所の尾崎精一所長、佐藤善則同署長、常磐開発の佐川藤介代表取締役会長、小名浜海陸運送の大曲一行代表取締役社長ら出席者がテープカットを実施。

石炭搬送を担う同運送(小名浜字高山)の子会社・常和運送(泉町下川字大剣)のトラック3台が通り初めを行った。

IGCCは543メガワット出力のプラントで、三菱商事パワー、三菱重工業、三菱電機、東京電力ホールディングス、常磐共同火力出資の「勿来IGCCパワー合同会社」が、勿来発電所の隣接地に整備を進めている。石炭使用量は1日あたり約3400dを見込む。

写真は、開通した乗入道を通り初めするトラック=17日(クリックで拡大)

■県漁連の魚料理講習会 サンマ、イカ、イワシを調理

いわきで水揚げされた魚介類の風評払しょくを図ろうと、県漁業協同組合連合会は17日、市文化センターで、魚料理講習会を開いた。

東日本大震災による原発事故の影響で、本県の漁業は漁を自粛。その後、放射性物質検査を継続的に行い、安全が確認された魚種から試験操業を始めている。

講習会は、本県の魚介類の安全性を広く市民に知ってもらおうと開催。同漁協女性部が講師を務め、今回で8回目となり、本年最終講習会となる。

市健康推進員協議会平方部の20人が受講。いわきの郷土料理「サンマのぽーぽー焼き」、「イカと野菜の味噌(みそ)煮」「イワシのつみれ汁」の3品をつくった。

受講者は講師のアドバイスや包丁さばきを参考にしながら、手際よく調理した。完成した料理は全員で試食。本県漁業を応援しようと、安全安心な魚料理に舌鼓を打っていた。