2019年12月14日(土)

■常磐線 来年3月14日にも全線開通へ 富岡―浪江間再開

東日本大震災・東電福島第一原発事故の影響で、不通となっているJR常磐線の富岡(富岡町)―浪江(浪江町)駅間の20・8キロについて、来年3月14日を軸に運行再開を検討していることが分かった。関係者が14日、いわき民報社の取材に対して明かした。

ただ沿線の避難指示解除との兼ね合いがあるため、来年3月下旬とする考えもあるという。いずれにせよ、JR常磐線は全線開通を迎える。震災・原発事故が発生し、平成23年3月から途絶えていた、いわき―仙台間の鉄路が再び動き出す。

富岡―浪江駅間は、震災で橋りょうが崩落した箇所がある上、原発事故による帰還困難区域を通るが、JR東日本では復旧工事や除染を進め、来年3月までの常磐線全線再開を目指していた。

全線開通に合わせ、いわき―仙台間に特急列車が設けられる。JR東日本では、東京都内と仙台市に、直通で結ぶ特急列車を復活させる方針を発表している。

車両は特急「ひたち」で使われているE657系で、編成を増やして対応する。新たな双葉郡の停車駅は富岡、浪江駅とみられ、具体的なダイヤを詰めていく。

震災前は651系の特急「スーパーひたち」として、上野―仙台駅間に上下7本が設定され、いわき駅以北の市内では、四ツ倉駅に一部が停車していた。平成24年春からは、いわき駅で常磐線特急が分断され、いわき―仙台駅間に、E653系の特急列車を走らせる計画を立てていた。

なお再開する富岡―浪江駅間のうち、夜ノ森駅(富岡町)、大野駅(大熊町)、双葉駅(双葉町)は、原発事故に伴う帰還困難区域となっており、JR東日本では駅周辺が、特定復興再生拠点区域(復興拠点)として、避難指示が解除されるのが、運行の前提としている。

JR東日本水戸支社は18日から、富岡―浪江駅間で試運転を始め、本格的な準備に入る。試運転では列車を安全に運行するため、線路や電力、信号・通信設備の機能を確認する。今後は乗務員の技術習熟を目的に、訓練運転も順次行っていく。

写真は、今年3月に不通区間が公開された様子。線量が低減した大熊町夫沢の大野―双葉駅間で、福島第一原発から西約3キロに位置する(クリックで拡大)

■磐城 センバツ21世紀枠候補に 古豪復活!台風被災地に元気を

日本高野連は13日、第92回選抜高校野球大会(来年3月19日、甲子園球場で開幕)の21世紀枠候補9校を発表し、東北地区は秋季東北大会8強の磐城が推薦された。

出場32校は一般選考(28校)、21世紀枠(3校)、神宮大会枠(1校)ともに来年1月24日に開かれる選考委員会で正式決定する。

午後3時すぎ、ウオーミングアップを済ませ、グラウンドで待つ部員20人前で、木村保監督が東北推薦校決定を報告。選手たちは凛(りん)とした表情で受け止めた。

「光栄なことだが、先輩たちが築き上げた伝統あっての結果」と木村監督。教え子の東北舞台での躍進を評価しながらも、「まだまだ、聖地に立つ力はない。しっかりと襟を正し、人として、野球人として成長してほしい」と鼓舞した。

3年連続で県推薦校となり、「三度目の正直」でようやく東北地区候補校の座を手にした。聖地への第二関門を突破。夢の甲子園出場に向けて、また一歩前進した。

岩間涼星主将(2年)の号令で、練習が始まった。台風19号の影響で、サッカー部、ラグビー部が主に使用する第2グラウンドが浸水。外野部分を提供するなどし、いずれも伝統ある運動部が共有し、力をつけてきた。第1グラウンドにも所々、水たまりが残り、台風のつめ跡が色濃く残る。

秋季県大会で東日大昌平との同地区対決となった第3代表決定戦を制し、12年ぶりに東北の舞台へ。主戦・沖政宗(同)が6安打6奪三振の完封で東海大山形(山形)に6―0で勝利し、秋の東北舞台で27年ぶりの白星発進を切った。

エースの大活躍で初戦突破を飾り、いったん、古里に戻ったナインを台風19号が襲った。出場を辞退し、すぐにボランティア活動に出向くことも脳裏をよぎったが、「今できることは野球で勇気を与えること」と決戦の地・岩手に戻った。

調整不足にもかかわらず、2回戦では能代松陽(秋田)に2―1で競り勝ち、8強入り。準々決勝で仙台城南(宮城)に3―6で敗れ、46年ぶりの4強入りは逃すも東北舞台で躍進し、台風19号で被災した市民に勇気と元気を届けた。

東北舞台で3試合連続で先発登板した主戦・沖は「負けて自分たちの弱さを痛感した」と反省を忘れない。「東北候補校となって、まずは一安心」とほおを緩めるも、「さらにギアを上げて、レベルアップを図りたい」と下半身強化と新球種のシュート習得に力を入れる。

県推薦に選出され、1カ月がたち、毎日2時間半の練習メニューに加え、「ウインターリーグ」と銘打ち、選手19人が二手に分かれ、紅白戦を始めた。正位置を基本としながらも、選手がさまざまポジションを経験。より実戦に近いゲーム練習をし、20人に満たないチームの底上げを図る。

前チームは主戦・首藤浩輝(3年)を擁し、「高校日本一」を目標に掲げながら、夏の福島大会で初戦敗退。2つ下の弟瑛太(1年)は「きっちりと練習し、皆さんの期待に応えられるよう頑張りたい」と尊敬する兄が果たせなかった聖地での活躍を誓う。

21世紀枠候補9校の1校に選出。夢の甲子園出場に向けて、また一歩前進した。年明けの選考委員会での代表3校入りを目指し、球春の聖地をコバルトブルーに染める日を待つ。

「先輩たちが築き上げてきた文武両道を貫いてきた」と岩間主将「これからもやることは変わらない。地に足をつけてしっかりと力をつけたい」と42日後の吉報を待つ。

写真は、東北地区の21世紀枠候補校に決まった磐城=13日午後(クリックで拡大)

■「ぼくらが取ったメバチマグロです」 海星高の漁獲 イオンで販売中

いわき海星高(松本善法校長)の生徒たちが遠洋航海実習で漁獲したメバチマグロが15日まで、東北6県のイオン、イオンスタイル45店舗で販売されている。

昨秋実施した第2次航海実習において、生徒たちがハワイ沖で行ったマグロはえ縄漁で捕まえ、小名浜港に水揚げした冷凍もので、14日は同校本科の生徒4人がイオンモールいわき小名浜の核店舗・イオンスタイルいわき小名浜の鮮魚コーナーで売り子に挑戦。

利用客に試食を促すなどし、マグロの美味(おい)しさとともに同校の取り組みを紹介した。

今春の航海実習に参加した生徒も店舗に立ち、海洋科3年の佐藤龍之介さん(18)は「味には自信がある。美味しく思ってもらえるよう、ぜひ多くの人に食べてもらいたい」と、積極的に利用客にメバチマグロの魅力をPRしていた。

たたきと刺し身、切り落としが販売されており、たたきは鮮度が求められるため、本県の店舗のみの販売となる。

■きょう未明 常磐の国道6号で逆走事故 5人重軽傷

14日午前1時半ごろ、いわき市常磐松久須根町大夫内地内の国道6号で、逆走車両によって、車両3台が絡む多重事故が発生した。

いわき中央署によると、同市鹿島町船戸、学生の男性(21)の普通乗用車が、国道6号を同市小名浜方面に逆走。対向してきた普通乗用車、軽自動車とぶつかった。

学生の男性は多発外傷による重傷。対向車両のうち、普通乗用車を運転していた市内の会社員男性(18)は右足骨折の重傷。助手席の女性(18)や、もう1台の軽自動車の40歳代男性2人は軽傷だった。

現場周辺は事故の影響で、約3時間半にわたって通行止めとなった。学生の男性が誤って流入したとみられ、同署は逆走の理由など、詳しい事故原因を調べている。