2019年12月13日(金)

■夏井川決壊から2カ月 いまだ途上の平窪地区 ボランティアの求めも

台風19号の影響で夏井川が決壊してから、13日で2カ月を迎えた。広い範囲が浸水した平・平窪地区では、住民が生活再建を進めているが、いまだ途上なのが実情だ。

平中平窪の平窪公民館に置かれた現地対策事務所で話を聞くと、住宅が床上浸水の被害に遭った人からは、「寒くなるので暖房がほしい」「自宅の片付けに追われ、新たな衣服を買いに行く余裕がない」「義援金を早く支給してほしい」との声が挙がった。

平窪公民館の現地対策事務所には、13日も次々と市民が足を運んでいた。被害を受けてから2カ月が経過しても、ボランティアの手を借りての泥かきが続いており、土のう袋を求める事例も多い。また1世帯につき10枚のタオルが入ったことで、床ふきなどに使えると喜ばれているという。

物資には限りがあるため、カーペットがもらえると聞き付けた人もいたが、すでに予定の数量が終わっており、市の担当者から、下平窪公民館での民間による物資提供の紹介を受け、残念そうに帰っていった。

ボランティアもまだまだ必要としている。市によると、8日現在、市内全体で延べ8280人が参加しているが、被災者のニーズ852件に対し、115件が残っている。

写真は、2カ月が経過しても、物資をもらう人が多い現地対策事務所=13日午前(クリックで拡大)

[常勝院の取り組みや考え参考に]

平中平窪の常勝院は境内が浸水しながらも、発災直後から住民におにぎりを配ったほか、行政に先立って支援物資の配給拠点として機能した。

市は12月下旬をめどに、台風19号に関する検証委員会を設置する予定だが、民間との連携や、災害時に住民が何を求めているかを知るためにも、こうした取り組みは参考になると考えられる。常勝院の横山佐知子さん(56)に話を聞いた。

常勝院は市道から2メートルの高さにあり、本堂が水につかることは免れた。横山さんは10月13日昼、目の前の惨事を受け、市役所に連絡するも、「救援物資は企業・団体から、水のみ受け付ける。食料は自分で買うように」と言われた。

自家用車も水没した中で、そうした対応に何かしようと思い立ち、家族と協力し、100個以上のおにぎりを握りながら、ツイッターやフェイスブックを通じ、現状を発信するに至った。

全国から次々と善意が寄せられ、10月16日から27日にかけて、生活用品や衣類等の配給、温かい食事を振る舞う炊き出しを展開した常勝院。横山さんは「本当に多くの方に手を挙げていただいた」と振り返る。

災害時はデマの恐れも指摘されるが、やはり会員制交流サイト(SNS)の効果は大きい。

いま横山さんが心配するのは、平窪地区の将来についてだ。「何年たったら、以前の平窪の街に戻るのか。正直先が見えない」と明かす。

台風による被害をきっかけに、若い世代を中心に住民が流出する懸念を持つ。望むのは、県と市が合同で責任を持った形で、住民説明会を開催すること。地域のよりどころとして、横山さんは「少しでも何か力になりたい」と語った。

写真下は、行政に先立って支援物資の拠点となった常勝院の様子(クリックで拡大)

■平・並木通りの再開発 組合・熊谷組が基本協定

JRいわき駅前の平・並木通り地区の再開発に向け、いわき駅並木通り地区市街地再開発組合(理事長・野沢達也いわき民報社代表取締役社長)は12日、準大手ゼネコンの熊谷組と、特定業務代行基本協定を結んだ。締結式が同日夜、いわき産業創造館で行われた。

協定に当たって、野沢理事長は「再開発事業は本当の意味で、第一歩を迎えた」とあいさつ。熊谷組東北支店の大野雅紀常務執行役員支店長は「皆さんの期待通り成功できるよう、当社の持つノウハウ・技術を提供していく」と語った。

特定業務代行者となった熊谷組は、設計から施行までを担っていく。今後は実施設計や、権利変換計画の作成に着手するという。

平・並木通り地区の再開発は、1・2ヘクタールの土地に2つの街区を設定。26階建てと24階建てのマンションに、4階建ての商業棟が併設される計画となっており、熊谷組とともに、具体的な部分を詰めていく。令和3年度末までの事業完成を目指している。

■次期衆院選 福島5区 国民・増子氏「勝てる候補を擁立」

国民民主党の増子輝彦幹事長代行(参院福島選挙区)は12日、いわき民報社の取材に応じ、空白となっている衆院福島5区(いわき市・双葉郡)の候補者について、小熊慎司県連代表(衆院比例東北)と連携し、人選を進めていると明かし、「勝てる候補を擁立する」と語った。

国会の動向にも言及し、立憲民主党が国民民主党や社民党に対し、政党合流の協議を呼びかけた点を踏まえ、「その辺りの動きも含め、対自民・公明を見据え、福島5区も野党統一候補であるべき」と強調した。

来年1月に召集予定の通常国会冒頭で、安倍首相が衆院解散に踏み切る可能性も指摘し、早ければ年明けにも、候補者を発表したいとの意向をにじませた。

増子氏は明言を避けたが、関係者によると、福島5区の野党候補者には、いわき市にゆかりのある元衆院議員や、元職を含む県議の名前が取りざたされている。

前回(平成29年10月)の衆院選で、福島5区に候補者を擁立した共産党も、野党統一には前向きな姿勢を見せている。

■市営住宅の家賃減免拡充 4月を目標に実施へ

市は来年4月を目標に、国の通知を基にし、市営住宅の家賃減免を拡充する方針を固めた。

現在は世帯収入ごとに、家賃が8つの階層に分かれており、失業や病気などで払えなくなった場合、階層を下げる措置を講じているが、最も下の1階層の住民は同じ事情でも、いま以上に家賃が下がることはなかった。

こうした事情を踏まえ、1階層を細分化し、それぞれの生活に対応できるようにしていく。

根本英典市土木部長が12日、市議会12月定例会の席上、渡辺博之議員(共産党・市民共同)の一般質問に対し、市営住宅の家賃減免について答えた。

■いわき常磐ロータリークラブ 市内8校に児童書贈る

いわき常磐ロータリークラブ=RC=(佐久間守人会長)は13日、読書活動に力を入れている入遠野小に児童図書8冊を寄贈した。

同RCは将来を担う地域の児童を支援するため、平成26年度より毎年、常磐、遠野地区の教育施設に図書を贈っている。

本年度は同校のほか、湯本一、湯本二、湯本三、磐崎、藤原、長倉、上遠野各小にも同様に8冊ずつ寄贈しており、同日は佐久間会長と根岸勝栄元会長が入遠野小を訪問。酒井修三校長立ち会いのもと、図書の貸し出しなどを行う情報委員会の6年生5人に図書を手渡した。

福島の伝承を描き、出版文化美術賞を受賞した「猫魔ケ岳の妖怪」、環境大臣賞優秀賞を受賞した「世界を救うパンの缶詰」など、8冊すべてが様々な賞を受賞した評価の高い本で、「読書を通じ、子どもたちの選択肢、将来の可能性が広がると嬉(うれ)しい」と佐久間会長。

同委員会の委員長を務める、平子楓花さん(11)は目を輝かせながら、「下学年、全校生に良いところを伝えて借りてもらえるよう、楽しく読んでもらえるよう本の貸し出しを頑張りたい」と喜び、酒井校長も「毎年子どもたちも楽しみにしている。本当に感謝します」と感謝の気持ちを伝えていた。

写真は、児童たちに児童図書を寄贈したいわき常磐RCの根岸元会長と佐久間会長(後列右から=クリックで拡大)