2019年12月12日(木)

■台風上陸2カ月 避難所に178人 市内小・中4校庭いまだ使えず

いわき市に甚大な被害をもたらし、死者9人を出した台風19号の上陸から、12日で2カ月を迎えた。市内では復旧作業が進められているが、床上浸水した住宅では炊事や洗濯、入浴ができない事例も多いほか、4カ所に設けられた避難所には同日午前6時時点で、86世帯178人が身を寄せている。

子どもたちの学校生活にも影響が続いており、公立小・中学校4校では、いまだ校庭が使えない状況だ。

市教委によると、校庭が使用できないのは、夏井川や好間川の氾濫によって、平二小、好間一小、好間二小、小川中の4校。うち好間一小は校庭に泥水が流れ込んだため、でこぼこになっている上、大小さまざまな石も入り込んでしまい、児童がけがをする恐れがある。現在は体育館で授業を行っている。

いずれの学校も元の状態に戻すに当たって、流入した土砂を撤去し、新たな土に入れ替えた後、整地する予定。遅くとも来年3月までには完了する見通しだが、児童・生徒の授業や部活動を考慮し、一日でも早く終わらせたいとしている。

また広い範囲が浸水した平下平窪の平四小については、市が現地対策事務所を設置し、校庭では自衛隊が入浴サービスを提供していたが、同じように市が原状回復に臨む。なお平四小は校庭の一部が使えるという。

市では自衛隊や建設業団体と連携し、年内までに生活圏から水害ごみを撤去する方針を示しているが、土ぼこりが舞ったり、交通量が増大したりと、登下校時の衛生面・安全面を心配する声も聞かれている。

こうした事情から、市は浸水区域に対しては、子どもたちに通学用のマスクを配布しており、通学路にも教職員や地域住民を立たせている。

さらに子どもたちの遊び場である公園も、臨時集積所となった場所が多いが、撤去後に遊具や表土の不具合を確認し、必要に応じて修繕や入れ替えを図り、できる限り早く元の姿にする考えを示している。

高田悟市教育部長らが11日、市議会12月定例会の席上、福嶋あずさ議員(創世会)の一般質問に状況を明らかにした。

写真は、好間川の氾濫によって、2カ月が経過しても使えない好間一小の校庭=12日昼(クリックで拡大)

■土砂崩れの国道289号 年度内に仮設道路供用 当面は緊急車両のみ

国交省東北地方整備局は11日、台風19号の影響で大規模な土砂崩れが発生し、一部通行止めとなっている国道289号の災害復旧方針を発表した。

道路の片側を仮設復旧し今月中にも開放する方向で調整を進めてきたが、斜面対策が不十分な上、日中は災害復旧工事の作業車両などが行き交い安全性の確保が難しいことなどから、救急車ほかの緊急車両の通行に限定。

一般車両に関しては、対岸に仮設道路を設けて年度内に開放することを決めた。

同整備局によると、土砂撤去を終えても山腹から土砂が崩れ落ちる可能性があることから一般車を通すにはリスクがある上、日中は工事車両等が行き交うために救急、消防車両、パトカーなどの緊急車両に限定した通行を行う。

ただ、日常生活に不便を来している地元住民に限り、安全性が確保されれば工事作業を行わない朝夕の通勤、通学時間帯を開放することも検討している。

一般車両については、道路沿いを流れる入旅人川の対岸に全長530メートル、幅員7・5メートルの仮設道路を設置して対応。今月中に工事に着手し、年度内の供用開始を目指すという。

同所の崩壊規模は全長約800メートル、堆積土砂は約4千立方メートルで、国が直轄権限代行事業として災害復旧にあたっており、崩壊地の山地復旧工事については、林野庁と県農林水産部が実施する。

写真は、国交省が11日に示した災害復旧方針=東北地方整備局提供(一部加工=クリックで拡大)

■映画「さくらコンチェルト」完成 来年1月に完成披露上映会

いわき市の地域資源を生かした映像作品づくりを目指した「いわきローカル映画プロジェクト Totte Mippe(とってみっぺ)」の第1弾として、オールいわきロケの短編映画「さくらコンチェルト」が完成した。平祢宜町のいわきPITで来年1月11日、完成披露上映会が開かれる。

作品は姉妹の成長を描いており、地元の魅力が詰まった内容に仕上がった。いわき市公認ご当地アイドル「アイくるガールズ」のメンバーが出演し、リーダーのしーたんが主演を務める。

とってみっぺ代表の羽賀慎一郎さん、副代表の坂本博紀さんが11日、いわき民報社を訪れ、映画の完成をPRした。

映画について、羽賀さんは「アイくるガールズのメンバーは演技は初めてだったが、撮影の中で成長していった」と話す。

完成披露上映会は午後1時、3時、5時、7時の計4回。インターネットによる寄付「クラウドファンディング」によって、午後7時の回を除いて、チケットが返礼品となっている。午後7時の回は、いわき芸術文化交流館「アリオス」などで一般販売される。

問い合わせは、とってみっぺ事務局=電話(88)8737=まで。クラウドファンディングはこちら

■県高総文 アリオスで写真展始まる

第38回県高校総合文化祭「写真展」が12日から、いわき芸術文化交流館「アリオス」大リハーサル室などで始まった。15日まで。入場無料。県高校文化連盟、県教委主催、市教委後援。

同展では県内31校の写真部員が日常、風景、学校行事などを映したカラー・モノクロ作品529枚を展示。このうち、市内からは磐城、磐城桜が丘、平工業、いわき総合、いわき光洋、湯本、勿来工業の7校・124点が出品されている。

展示に先立ち、審査が行われ、伊藤優季奈さん(磐城・2年)の「修学旅行の一片」が最優秀賞に選ばれた。

時間は午前9時から午後5時(最終日は同1時半)。15日午前11時半からの表彰式に続き、写真家ハービー・山口さんによる記念講演会「諦めないこととは」が開かれる。

■県高校新人バスケ 15日に光洋高で開幕

県高校新人体育大会バスケットボール競技いわき地区大会が15日、いわき光洋高で開幕する。

大会は15〜17の3日間、同校と湯本高で開催する。

男子はいわき海星と小名浜が連合で参戦し、13校・12チームが出場。女子は湯本と小名浜が連合で挑み、11校・10チームが出場し、男女別にトーナメント戦で優勝を争う。

大会初日の15日はいわき光洋高で、男女1、2回戦を実施。翌16日も同校で男女準決勝のほか、敗者復活1、2回戦を行う。大会は17日に最終日を迎え、会場を湯本高に移し、男女決勝と第3〜5代表決定戦を行う。

県大会は来年1月10〜12日の3日間、会津若松市のあいづ総合体育館などで開催。男女各上位5チームが出場する。