2019年12月5日(木)

■いわきFC 全会一致でJFLへ J近づくも思い変わらず

日本フットボールリーグ(JFL)の理事会が5日、東京都文京区のホテル東京ガーデンパレスで開かれ、いわきFCのJFL昇格が正式に決定した。

JFLはサッカーのアマチュア最高峰で、1〜3部に分かれるJリーグに次いで、国内4部相当の全国リーグ。

いわきFCは11月、全国の地域リーグの覇者らによる「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)」で優勝し、JFL昇格が内定していた。来季はJリーグ参入を目指す戦いに挑む。

JFLの理事会では、地域CLで優勝のいわきFC、準優勝の高知ユナイテッドSCについて、全会一致で入会を承認。桑原勝義理事長から、いわきFCの運営元・いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役に対し、理事会の内容が直接伝えられた。

大倉氏は報告を受けた後に報道陣の取材に応じ、「正直ほっとしている」と安ど感をにじませつつ、「私たちの目的は、Jリーグに行くことではない。サッカーを通じ、いわき市を元気にすることにある」と、これまでと変わらない思いを語った。

地域CL決勝ラウンドが、広野町のJヴィレッジスタジアムで行われ、多くのサポーターが駆けつけたことを振り返り、「(現体制が発足した)4年前には想像できなかった光景。あの姿をさらに広げたい」と意気込むを示した。

いわき市は、台風19号や続く大雨の被害からの復旧途上だが、大倉氏は「自分たちが元気をもたらすのならば、やれることは何でもやる」と力強く笑った。

写真は、桑原理事長から入会を伝えられた大倉氏(左)=5日午後、東京都文京区(クリックで拡大)

[門番と呼ばれる最強アマも]

いわきFCが、来季のステージとするJFL。今季は、元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーの「FC今治」が、Jリーグ3部(J3)昇格を果たしたように、Jリーグを目標とするクラブも多い。

JFLからJ3に上がるには、▽Jリーグ百年構想クラブに認定▽ホームゲームの平均入場者数2千人以上▽5千人以上収容のホームスタジアム▽JFLで4位以内で、かつJリーグ百年構想クラブの上位2チーム――などが求められる。

うちJリーグ百年構想クラブに関しては、いわきFCも申請しており、来年2月までに可否が決まる見込み。

一方、JFLには企業による社会人クラブも所属する。自動車メーカー・ホンダによる「ホンダFC」もその一つだが、今季は初のJFL4連覇を成し遂げたほか、天皇杯ではJリーグ1部(J1)の北海道コンサドーレ札幌や、浦和レッズを下し、8強に入った実力を持っている。

J3昇格には順位の要件もある中で、ホンダFCはこうした強さから、「Jへの門番」との異名があるほどだ。

■台風19号検証委 12月下旬に立ち上げへ 市議会12月定例会始まる

市議会は5日、12月定例会が開会した。初日の本会議では期間を19日までの15日間と定め、東日本大震災の記憶を後世に伝える「いわき震災伝承みらい館」が来年5月30日の開館に向けてや、小名浜市民プールを廃止する条例案、7億4780万7000円の一般会計補正案など議案23件が提出された。

清水市長が市政報告に立ち、いわき市に甚大な被害をもたらし、9人が亡くなった台風19号について、12月下旬にも大学の有識者らを交え、災害対応に関する検証委員会を立ち上げると表明。

市地域防災計画などが機能していたかを確認し、今後の防災対策に生かす考えを述べた。

検証委員会の設置は11月13日に明らかにしていたが、具体的な時期を明示するのは初めて。

また住宅再建や事業者の再開に向けた取り組み、半壊世帯に対する県独自の支援実現などを示した上で、「今後もさまざまな機会をとらえ、復旧の進ちょく状況に応じ、適切に要望活動を展開していく」と強調した。

提案要旨説明では、いわき震災伝承みらい館の開設や、国保税の納期を5期から8期に拡大することでの収納率向上等に触れたほか、鹿島町久保のがけ崩れに対する工事費など、補正予算を組む理由を語った。

あす以降の日程は次の通り。

▽6〜8日=休会(議案調査のため)▽9〜11日=本会議(一般質問)▽12日=同(一般質問―質疑―委員会付託)▽13日=常任委員会▽14、15日=休会▽16日=常任委員会▽17日=特別委員会▽18日=休会▽19日=本会議(委員長報告―採決―閉会)

※開会は午前10時。19日は復興創生対策特別委のみ午前9時から。

■常磐線富岡―浪江駅間 18日から試運転

JR東日本水戸支社は4日、東日本大震災・東電福島第一原発事故に伴い、不通の常磐線富岡(富岡町)―浪江(浪江町)駅間について、18日から試運転を開始すると明らかにした。原発事故を乗り越え、いわき―仙台間の鉄路が、再びつながる日が近づいてきた。

富岡―浪江駅間の20・8キロは、震災で橋りょうが崩落した箇所がある上、原発事故による帰還困難区域を通るが、復旧工事や除染を進め、来年3月までの常磐線全線再開を目指している。

試運転では列車を安全に運行するため、線路や電力、信号・通信設備の機能を確認する。今後は乗務員の技術習熟を目的に、訓練運転も順次行っていく。

■安全・安心な年末年始を 中央署管内の出動式

年末年始の事件事故防止運動(10日〜来年1月7日)に合わせ、いわき中央署管内の出動式が4日、JRいわき駅前で行われた。

管内の交通・防犯関係者ら約200人が出席し、安全・安心に年末年始が過ごせるよう、互いに協力していくことを確認した。

出動式では清水市長、佐治誠署長らがあいさつに立ち、それぞれの立場から官民一体となって、市民が住みよい街を目指していくと強調。交通事故やなりすまし詐欺などの未然防止を訴えた。

式典では、いわき湯本温泉の女将(おかみ)による「フラ女将」が花を添えたほか、白バイやパトカーなど14台が一斉に交通指導取り締まりに出発し、市民に事件事故防止を呼びかけた。

写真は、関係者を前に呼びかけをする佐治署長=4日(クリックで拡大)