2019年12月4日(水)

■災害ボラ「ゴリラ」岡山・真備に帰る 西日本豪雨の経験から手厚い支援

昨年7月の西日本豪雨によって、51人が亡くなった岡山県倉敷市真備町に復興本部を構えるNPO法人で、台風19号や続く大雨の被害を踏まえ、いわき市で支援を続けていた「災害支援団「Gorilla(ゴリラ)」が4日、いったん活動に節目を打って地元に帰った。

ゴリラは台風19号の発災直後から来市し、今回は11月18日から滞在していた。

西日本豪雨をきっかけにゴリラは立ち上がり、地元のみならず、幅広く必要な支援を展開してきた。真備町でも子どもたちの遊び場をつくるなど、現在はコミュニティーの維持を図っている。

いわき市では、避難所の内郷コミュニティセンターを中心に、延べ8千食以上の炊き出しを行ったが、高齢者が多い点にも配慮し、塩分やカロリーなど健康に気を使ったメニューを振る舞った。

避難所ではどうしても弁当中心となりがちだが、ゴリラが炊き出しを継続し、温かい食事が取れることから、子どもから大人まで自然と笑顔になったという。

ゴリラ代表理事の茅野匠さん(47)は、「被災者に寄り添った支援を大切にしてきた」と振り返る。こうした思いは、西日本豪雨で得た経験からだ。

「おなかいっぱいになると、誰もが幸せになれる。そうすると気持ちが前向きになり、コミュニケーションが生まれる」とも話す。

また大手通販会社の協力を得て、本格的に寒くなる時期を見据え、毛布386点(計400万円相当)を持ち寄った。茅野さんは手間がかかるも、あえて一人一人に手渡し、生活再建に向けて声をかけていった。

炊き出しなどと並行し、被災者の憩いの場として、カフェも繰り広げた。3日夕方から夜にかけても、夏井川が決壊し、広い範囲が浸水した小川町高萩に設け、多くの市民がコーヒーを片手に語らい合った。

中には会員制交流サイト(SNS)を見て、ゴリラの活動に感動して足を運んだ人もいた。

長期の滞在は一区切りとなったが、ゴリラでは年末年始の支援活動も計画している。茅野さんは「被災した人が取り残されてはいけない」と強調し、気持ちは常にいわき市にあると笑った。

写真は、子どもに人気の茅野さん(右)ら=3日夜(クリックで拡大)

■台風19号・豪雨 半壊世帯に県10万円 いわき市9892世帯が支給対象

内堀知事は3日、台風19号や続く大雨で住宅が床上浸水しながら、1メートル未満の被害で「半壊」などとされ、国の支援が受けられない人に対し、県独自の支援金1世帯10万円を支給すると明らかにした。

県によると、県内35市町村の1万8750世帯が対象とみられ、うちいわき市は9892世帯が該当するという。この事業費として、県は県議会12月定例会(10日開会)に、18億5700万円の補正予算を上程する。

県の支援金は、市町村ごとの見舞金に上乗せされる形で支給される。

いわき市は被災救助費を設けており、風水害による半壊は1世帯5万円、床上浸水は同3万円が交付されるため、今回の台風や大雨で被災した場合、15万円ないし13万円が受け取れる。

国の被災者生活再建支援法に基づく制度では、1メートル未満の床上浸水は半壊以下となり、倒壊の恐れなどで解体する場合を除いて、支援金は支給されない。

一方、1メートル以上1・8メートル未満の床上浸水は大規模半壊、1・8メートル以上の床上浸水は全壊とされ、それぞれ50万円、100万円の基礎支援金に加え、最大200万円の加算支援金がある。

いわき市はじめ、県内の被災者からは不公平だとの声が上がっていた。

こうした点から、清水市長は11月27日、県市長会を代表し、内堀知事に要望活動を展開。2日には県町村会からも、同じ意見が出されていた。

内堀知事は当初、国に制度拡大を働きかけるとし、県独自の取り組みには消極的な姿勢だったが、被災の現状を踏まえて方針を転換した。

都道府県によっては、すでに独自の制度をつくっている。台風19号に当たっては、岩手県が新たな支援策として、国の制度外となる半壊世帯に最大20万円、床上浸水世帯に最大5万円を支給すると決めた。

清水市長は4日、JRいわき駅前で、いわき民報社の取材に応じ、「県が、市長会の申し入れを受け入れてくれたことは、非常にうれしく思う。国の制度では、半壊以下はどうしても手薄な部分があるので、少しでも県と市で補えれば良い」と語った。

■三和ふれあい館 あすから入浴時間戻る 無料対応は継続

台風19号の影響に伴い、開館時間を延長していた、市地域交流センター「三和ふれあい館」(三和町下市萱字竹ノ内114の1)の入浴施設=は5日から、従来の午前10時〜午後5時に戻す。

料金は大人170円、小人80円。休館は第3月曜日(休日の場合は翌日)。引き続き、▽避難所生活を送る人▽浸水、土砂崩れなどで自宅入浴が困難な人▽災害ボランティアで活動した人−−は無料。

■JFL昇格内定・地域CL優勝 いわきFC 内堀知事に報告

いわきFCは3日、福島市の県庁を訪れ、内堀知事に対し、日本フットボールリーグ(JFL)昇格内定と、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)の優勝を報告した。

県庁には主将のMF平沢俊輔、FW平岡将豪、MFバスケス・バイロン、運営元・いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役、岩清水銀士朗COO(最高執行責任者)が訪問した。

内堀知事は「台風19号の被害の中で昇格を決めた。いわきFCの理念は、地域を元気にしている」とたたえ、今後のさらなる飛躍を願った。

5日のJFL理事会によって、いわきFCの昇格は正式に決定する。また、いわきFCはJリーグ参入に向けた「Jリーグ百年クラブ構想」も申請しており、来年2月までに可否が決まる。

■いわきFC 9選手が退団・引退 ウェズレイは契約更新

いわきFCの運営元・いわきスポーツクラブは3日、今季限りでチームを退団・引退する9選手を発表した。

また同日、ブラジル出身のDFウェズレイ・ロドリゲス(27)と、来季に向けての契約を更新したと明らかにした。

退団・引退選手は次の通り。

◇退団▽DF附木雄也(24)▽DF鈴木一朗(24)▽FW久永翼(26)▽DF椿健太郎(23)▽MF宮沢弘(24)▽FW小枇ランディ(20)▽FW小野瀬恵亮(25)▽DF五十嵐陸(21)

◇引退▽DF高橋大河(21)

写真は、退団が決まった小野瀬(背番号19)。県1部だった平成29年6月の天皇杯で、J1札幌を相手に延長後半、勝利を決定づける5点目を挙げた(クリックで拡大)

■相馬双葉漁協 きょうから小名浜で水揚げ 本格操業に向けて弾みを

相馬双葉漁協(相馬市)は4日、海域外のいわき市沖で、東電福島第一原発事故後初となる底引き網漁を実施した。

福島県沖の漁業は原発事故によって、試験操業が続いているが、海域外での操業を認めることで、水揚げ量が増え、本格操業に向けて弾みがつくと期待されている。

底引き網漁は相双漁協の3隻で行われ、週に1回、いわき市沖に南下しながら漁獲し、小名浜魚市場に水揚げする。帰路でも漁を続け、その分は松川浦漁港(相馬市)に回す。

初日の4日は小名浜魚市場に、アナゴやヒラメ、ノドグロなど計1381キロが運び込まれた。

■福島県沖 ビノスガイの出荷制限解除 残すはコモンカスベのみに

政府の原子力災害対策本部は3日、福島県沖で取れるビノスガイについて、東電福島第一原発事故に伴う出荷制限を解除した。

ビノスガイは平成24年1月、広野沖の1検体から、放射性セシウムが1キロ当たり110ベクレル検出された。

同年6月に出荷制限となったが、昨年12月から今年10月にかけて、福島県沖の91検体が、いずれも放射性セシウムは不検出で、安定して基準値(同100ベクレル)を下回っていることが確認された。

福島県沖の水産物は原発事故後、43魚種・44品目で出荷制限とされたが、ビノスガイの解除によって、残るはコモンカスベのみとなった。