2019年12月3日(火)

■都響の演奏再び 復興願って子どもたちに一流の音楽を

いわき市などの子どもたちに、東京都交響楽団(都響)が一流の音楽を届ける演奏会「ボクとわたしとオーケストラ」が2日、いわき芸術文化交流館「アリオス」大ホールで開かれた。

演奏会は今回で9回を数え、午前と午後の2度にわたって、いわき市の小・中学校と、東電福島第一原発事故に伴い避難生活を送る双葉町の双葉南・北小、双葉中の計32校から、3650人を会場に招いた。

都響、FMいわき、NPO法人いわきの子どもたちに音楽を届ける会が主催した。

都響は昭和40年、前年の東京五輪を記念し、東京都によって設立された。国内トップクラスの楽団だが、音楽鑑賞教室や福祉施設慰問を行ったり、ゲーム音楽の録音をしたりと、活動は多岐にわたっている。

東日本大震災からの復興を祈念し、平成24年2月から定期的に来市しており、延べ2万3000人あまりの小・中学生を招待している。

今回は子どもたちを前に、映画「スターウォーズ」のメイン・タイトルや、シベリウスの交響詩「フィンランディア」などを奏でた。恒例の合唱曲「ビリーブ」も披露され、会場の児童・生徒が一緒に歌い上げた。

今回の開催に当たっては、インターネットを通じた寄付「クラウドファンディング」が活用され、子どもたちに生のオーケストラを聴いてもらうことで、心がつながる素晴らしさを感じてほしいと願い出た。

その思いに応え、県内外から40万円あまりの善意が寄せられ、小・中学生の送迎費、会場の運営費等に使われた。

関係者は、10回となる次回も実施を目指している。

写真は、子どもたちを前に演奏を披露する楽団員=2日午後(クリックで拡大)

■広野町・高野病院テーマの絵本原画展 きょうから総合図書館

いわき市出身のイラストレーター、絵本作家菅野博子さんの「『たかのびょういんのでんちゃん』原画展」が3日から、いわき総合図書館学習室で始まった。8日まで。

「でんちゃん」は東電福島第一原発に伴い、同原発の半径30キロ圏内となった高野病院(広野町)を舞台に、患者を救うために病院職員と共に頑張った発電機を主人公としており、高野病院の高野己保理事長が原案を手がけた。会場では原画19点を紹介する。

また「第34回手づくり絵本展」も同時開催され、市民、市内小・中・高生、支援学校の生徒が自由な発想で紙、布に制作したオリジナル絵本187冊が飾られている。時間は午前10時から午後5時。

関連行事として、8日午後2時から「菅野博子さんの絵本おはなし会」が開かれ、高野理事長らが読み手を務める。

問い合わせは、いわき総合図書館=電話(22)5552=まで。

■よつクリスマス2019 8日まで 四倉・久之浜をイルミネーションで彩る

四倉地域観光ブランディング協議会主催の「よつクリスマスイルミネーションズ2019」が8日まで、ワンダーファーム、道の駅よつくら港、浜風きららの3会場で開かれている。

イルミネーションは、「冬の観光スポット・いわき市北部地域」のイメージ定着、サービス創出による観光ブランド化、集客力向上を図り、交流人口拡大を目指す取り組み。今年で3回目になる。

各会場にはNPO法人いわきイルミネーションプロジェクトチーム、SHANME、トライアート、鈴清鉄工が装飾した聖夜、浦島太郎伝説などをイメージした色とりどりのイルミネーションが、来場者の目を楽しませている。

点灯時間は午後5〜8時。また7日は3会場間、JR湯本駅からワンダーファーム間を結ぶ無料シャトルバスが運行する。

問い合わせは、四倉地域観光ブランディング協議会=電話(32)8075=まで。

写真は、ワンダーファームを彩るイルミネーション(クリックで拡大)

■来年3月 全日本UJボクシング大会 いわきの東北チャンプ・斎須、松本が出場

第9回全日本UJ(アンダージュニア)ボクシング大会が来年3月21、22の両日、石川県の津幡町総合体育館で開かれる。本市から東北代表として、小学生男子37キロ級に斎須清春(泉北小6年)、中学生男子54キロ級に松本風毅(泉中2年)が出場する。

初の全国舞台に挑戦するいわきの東北チャンピオン2人が春の石川の地で、令和初の全国頂点を目指す。

全国大会への最終関門となった「第10回東北UJボクシング大会」は11月2〜4日、宮城県仙台市のカメイアリーナ仙台で開催。

斉須はデビュー戦で初優勝、松本は6月、同会場で行われた第6回全日本UJ王座決定戦東北ブロック選考会に続き、2度目の東北制覇を果たした。

斎須は本来、キックボクシングの選手。パンチ力強化のため、今春から、本格的にボクシングを始めた。デビュー戦となった東北大会では、1ラウンド1分37秒で得意の右ストレートで相手をねじ伏せ、プロのTKO(テクニカルノックアウト)に当たるRSC(レフリーストップコンテスト)で快勝。

決勝は初挑戦からの緊張からか判定までもつれたが、「疲れても、きっちりとパンチが打てた」と日ごろの練習の成果を発揮し、3―2と1ポイント上回り、初出場で初優勝の華々しいデビューを飾った。

全国切符を手にした数日後、斎須は大人相手のスパーリングで大事な右こぶしを骨折。だが、へこたれない。左を制する者は世界を制す―。左手1本で練習に励み、左ジャブや得意の左フックに磨きをかけている。

一方、松本は泉北小4年から本格的にボクシングを始めた。小学1年から、父の影響で始めた極真空手で鍛えたこぶしから繰り出すパンチ力を武器に、東北大会では初戦が1分55秒、決勝は得意の右ストレートで相手をリングに沈め、1分5秒とともに1ラウンドRSCで決着をつけた。

いわき創拳ボクシングジムでの週3回のトレーニングのほか、日曜日は磐城緑蔭高で開催している「磐城二高ボクシング教室」で練習に励む。自主練でもジャブ、ワンツーなど基礎を徹底。

的確にポイントを奪う左アッパーも習得した。「準決勝では硬さがあったが、決勝では足も使え、思い通りの試合運びができた」と松本。東北頂上決戦では得意の右ストレートを相手をマットに沈め、連覇を決めた。

UJの全国大会は一発勝負のワンマッチで行われる。同教室で2人を指導する磐城緑蔭高ボクシング部顧問の藍原浩教諭は自身のUJの全国大会で采配を振るのは初。「どちらもボクサータイプのファイターで全国でも通用する逸材」と勝利を後押しする。

2人は年齢は2歳違いだが、泉出身で、誕生日は同じ4月24日生まれ。斎須は「目指すは優勝」と気合十分。右こぶしのけがも間もなく完治し、完全復活で全国の頂点を目指す。

松本は「ワンマッチの大会ははじめてなので、どんな選手と戦うかたのしみ」と興味津々。「全国の緊張感も楽しみたい」と東北連覇のタイトルを引っさげ、強豪ひしめく全国舞台に乗りこむ。