2019年12月2日(月)

■水害乗り越え音色取り戻す はと保育園にピアノ寄贈

台風19号の影響で夏井川が決壊し、3メートル近く園舎が水没した平赤井のはと保育園に2日、アップライトピアノ1台が寄贈された。

寄贈に当たっては、平字作町二丁目のピアノショップいわき・遠藤洋さん(60)が協力。お披露目にはピアニストの西村由紀江さん(52)が駆けつけ、1、2歳児30人あまりを前に、アンパンマンやドラえもんの楽曲などを奏でた。

遠藤さんは台風19号に伴い、浸水したピアノ70台を引き取り、修理して返却したり、やむなく部品取りに活用したりしている。

寄贈されたピアノは平下平窪の住宅に置かれ、40センチほど水に漬かった。元の持ち主の好意もあって、直した後ははと保育園に贈られた。

「使命感を持って、ピアノを修理している」と遠藤さん。東日本大震災の際には、津波で被災した豊間中のピアノを復活させ、現在まで「奇跡のピアノ」として親しまれている。

「海水にまみれたピアノよりは楽ですよ」と冗談めかしつつ、災害に負けてはいけないとの思いは、今回の水害でも気持ちは変わらない。

そうした熱意に共感し、西村さんも演奏に訪れた。西村さんは震災後、被災地にピアノを贈るプロジェクトを続けており、遠藤さんとも連携して活動している。

最初は緊張した面持ちだった子どもたちも、軽快なピアノのリズムに、次第に笑顔で体を動かしていった。

西村さんは「ピアノを通じ、一緒に楽しい時間が過ごせてうれしかった」と声を弾ませ、音楽が育む心を大切にしてほしいと語った。

園長の坂本佳友さん(62)も「子どもたちの感受性を高めるすばらしい機会となる」と話す。贈られたピアノを、園児はさっそくうれしそうに触っていた。

0?2歳児は応急復旧した園舎で過ごすも、3?5歳児は休園中の四倉第四幼稚園を間借りしている。来年1月までに仮設園舎を建てる計画で、並行して新園舎の建設に着手する。

本格復旧に向け、ピアノの寄贈が少しでも良いきっかけになってほしいと、期待を寄せていた。

写真は、はと保育園に寄贈されたピアノを弾く西村さん。奥に立つのが遠藤さん=2日午前(クリックで拡大)

■Jリーグ百年構想クラブ申請 いわきFC 来年2月までに可否

いわきFCの運営元・いわきスポーツクラブは2日、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に対し、Jリーグ参入に必要な「Jリーグ百年構想クラブ」の申請書を提出したと、正式に明らかにした。

今後は書類審査・ヒアリング調査などが行われ、Jリーグ理事会で認定の可否が審議される。結果は原則として、申請日から90日後までに書面で通知される。

いわきスポーツクラブによると、来年2月までに発表される見通し。

いわきFCは5日、日本フットボールリーグ(JFL)昇格が決まる予定だが、さらにJリーグ3部(J3)に上がるには、Jリーグ百年構想クラブの認定は不可欠となる。

ただ大倉智代表取締役は、「私たちの目的はあくまでJリーグ入りではなく、スポーツを通じて『いわき市を東北一の都市にする』ことが変わらぬ目的」と重ねて強調する。

Jリーグ百年構想クラブの申請は、東日本大震災を踏まえ、復興から成長に向かう姿を、発信していくために必要なステップだと指摘する。

その上で、クラブのビジョン「魂の息吹(いぶ)くフットボール」に磨きをかけ、今後もあらゆる相乗効果を狙っていくと誓った。

【JFLからJ3に昇格するには】

▽Jリーグ百年構想クラブに認定▽ホームゲームの平均入場者数2千人以上▽5千人以上収容のホームスタジアム▽JFLで4位以内で、かつJリーグ百年構想クラブの上位2チーム――など。

■ラトヴィーナスに5人決まる 女性の視点からいわきの魅力発信

JRいわき駅前の商業施設・ラトブで1日、PRモデル「LATOVenus(ラトヴィーナス)」の発表会が行われた。お披露目順に春花、佐藤実優、木村紗由香、斉藤さら、のりかさんの5人が選ばれた。

ラトヴィーナスは、女性の視点で、ラトブからいわきの魅力を発信する人を募る目的で企画され、発掘オーディションの1次審査には、29人の応募があった。

この中からファイナリスト13人が選出され、会員制交流サイト(SNS)や買い物客による一般投票と、候補者によるミニイベント参加などを通じ、ポイント総数の上位5人がラトヴィーナスに決まった。

発表の席上、春花さんは「いわきを全国に広めたい」、佐藤さんは「持ち前の明るさで元気を届けたい」と意気込みを示した。

また斉藤さんは「ラトブの魅力が広がるよう行動したい」と話し、のりかさんは「5人で一致団結し、ラトブを盛り上げていく」と誓った。木村さんは都合により欠席だった。

5人はラトブの地域密着化の象徴として、各種イベントに参加するほか、ラトブのチラシ・テレビCM等に登場する。

写真は、ラトヴィーナスに選ばれた斉藤さら、春花、佐藤実優、のりかさん=左から。右上は木村紗由香さん(クリックで拡大)

■照島ウミウ30羽など確認 日本野鳥の会いわき支部

日本野鳥の会いわき支部(川俣浩文支部長)は1日、昭和20年2月22日に国の鳥類天然記念物に指定された「照島ウミウ」の現状を把握するため、泉町下川の小名浜オーシャンホテル&ゴルフクラブのゴルフコースなどで観察会を行った。

同支部では平成4年8月に同クラブと照島ウミウ観察に関する協定書を結び(締結当時は東京湾観光と小名浜スプリングスホテル&ゴルフ倶楽部)、毎年12月第1週の日曜日に観察会を実施している。

26度目となった今年は、市内の会員ら22人が参加。ホテルから照島の陸側部分が見えるゴルフコースに移動し、双眼鏡などで島と周辺を観察した。

照島は年々風化が進んでいる上、震災により岸壁が大きく崩れて羽を休める場所が少なくなり、最盛期は300ほどいた個体数も減少傾向に。

ここ数年は20〜40羽前後で推移しているが、同種は日の出とともにエサを求めて飛び立つため、正確な個体数の把握は難しいという。

このあと参加者たちは旧いわきサンマリーナ(小名浜港剣浜緑地)の入り口付近に場所を移して島の東側も観察し、その結果、両所で合わせて30羽(昨年は42羽)を確認した。

このほか、ふくしまレッドリストで絶滅危惧II類に指定されているハヤブサをはじめ、24種が確認された。また、会員たちは錦町御宝殿の鮫川付近でも観察を行った。

■「ながら運転」の罰則強化 施行初日の県内摘発は13件

自動車などの運転中に、スマートフォンや携帯電話を使う「ながら運転」について、厳罰化した改正道交法が1日から施行された。

全国ではながら運転による死亡事故も起きており、県警でも取り締まりを強化する方針を示している。

運転中に携帯電話で通話したり、画面を注視したりすると、「携帯電話使用等(保持)」に問われ、罰則は従来の「5万円以下の罰金」から、「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」に引き上げられた。

さらに交通事故を起こすといった「同(交通の危険)に対しては、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」から、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」に強化された。

また「保持」の反則金は約3倍に引き上げられ、大型車は2万5千円、普通車は1万8千円、二輪車は1万5千円、ミニバイクなどの原付車は1万2千円となった。

「交通の危険」は反則金ではなく、ただちに刑事処分の対象とする。

違反点数も「保持」は1点から3点に。「交通の危険」は2点から、ただちに免許停止となる6点とした。

県警によると、施行初日の1日には、いわき市を含む県内で13件の摘発があった。