2019年11月29日(金)

■片岡(東日本国際大)プロ入り報告 走攻守そろった選手に

プロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)で日本ハムから7位指名を受けた、東日本国際大の片岡奨人外野手(4年・札幌日大)が28日、市役所を訪れた。

片岡は清水市長と歓談し、指名報告をしたあと、サイン色紙を寄贈。「走攻守そろったスケールの大きい選手になりたい」と力強く抱負を述べた。

清水市長は「『己に克(か)つ』という気持ちを忘れず、プロ野球の世界でも頑張ってほしい」と激励した。

片岡は北海道札幌市出身。身長184センチ、体重78キロ。右投げ左打ち。大学3年秋から主将を務め、同大初の明治神宮野球大会出場に貢献した。

今春の南東北大学野球連盟のリーグ戦では打率4割2分4厘で12打点を稼ぎ、6盗塁、無失策と走攻守で存在感を示し、4季連続優勝を飾り、最優秀選手賞を受賞。

全日本大学野球選手権大会には3、4年次の2年連続で出場した。同大からのプロ入りは粟津凱士投手(西武)に続き、2年連続2人目。

写真は、清水市長にサイン色紙を手渡し、プロ球界での活躍を誓う片岡=28日午後(クリックで拡大)

■小川支所 公民館でも業務再開 12月9日から

市は29日、台風19号の影響で夏井川が決壊し、1階部分が水没した市小川支所について、12月9日から小川公民館も合わせて利用し、本格的に業務を再開する。

清水市長が29日、臨時の市長記者会見で明らかにした。

市によると、小川支所は10月12日深夜から13日未明にかけ、約1・7メートル水没する被害に遭った。

小川支所は昭和31年9月、旧小川町役場として建てられた。築63年の木造2階建てで、被災前からJR小川郷駅近くに移転する計画が立っている。

令和4年度の完成を目指しているが、清水市長は「一日も早く進めたい。またかさ上げするなど、水没対策も検討したい」と語る。

なお支所の敷地内では、プレハブ小屋の建設も並行。来年3月をめどに、新たなプレハブ小屋に業務が移る見通し。

■12月1日から 臨時休館中の赤井公民館再開

台風19号の影響に伴い臨時休館中の赤井公民館は、12月1日から業務再開する。

なお中央台、好間公民館は避難所閉鎖後に再開するほか、浸水被害の平窪の3公民館は当面、休館になる。

■市議会12月定例会 議案26件を提出 震災伝承館は来年5月30日開館へ

市は28日、12月5日開会予定の市議会12月定例会に対し、議案26件(人事に関する追加提案3件含む)を提出すると明らかにした。

議案のうち、東日本大震災の記憶を後世に伝える「いわき震災伝承みらい館」が来年5月30日に開館するに当たってや、利用者減を受けての小名浜市民プール廃止の条例案などを盛り込んだ。

いわき震災伝承みらい館は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた薄磯三丁目に位置し、建物は鉄骨造り2階建て。1階は展示室や多目的学習室など、2階は展望デッキを備える。

また一般会計補正予算には、7億4780万7000円を計上。うち2億2720万7000円を、8月に発生した鹿島町久保のがけ崩れ工事に向け、市に該当する部分の予算として盛り込む。

その他の主な補正内容は次の通り。

【障害児通所支援事業費】1億5618万9000円。放課後等デイサービスなど、障害児通所支援事業の利用見込み増を踏まえた措置。

【一般廃棄物ゼロ・エミッション推進事業費】7515万2000円。いわき市が保管している放射性物質汚染焼却灰について、4月に新設された国庫補助金を活用し、処理量の増大とともに、来年度までの処理完了を目指す。

【療養介護事業費】7257万7000円。いわき病院の定員増に伴い、事業費を増額する。

【震災メモリアル事業費】1554万5000円。いわき震災伝承みらい館について、工事完了に伴い引き渡しの時期が確定したため、供用開始に向けた備品購入などの準備を行う。

■エブリア2階に日本茶カフェ「シャングリ・ラ」 中央台の梶塚さん本物を追求

日本茶に特化したカフェがこのほど、鹿島ショッピングセンター「エブリア」2階に開店した。

切り盛りするのは、脱サラ後に日本茶インストラクターの資格を取得、日本茶の魅力を通じ被災者に癒やしを提供しようと、震災を機に県外から本市に移り住んだという梶塚宏之さん(52)=中央台。

コーヒー、紅茶のように日本茶の市場価値を高めたいと、妻あかねさん(50)とともに専門店を出し奮闘する姿が注目を集めている。

梶塚さんはカフェを出したきっかけを、「皆さん『コーヒーや紅茶を飲みに行こう』とはなるが、『せん茶や玉露を飲みに行こう』とはならない。生産地や入れ方一つでさまざまな表情を持つ、日本茶の魅力をもっと知ってほしい」と熱く語る。

群馬県伊勢崎市出身で元来いわきとは縁もゆかりもなく、都内でサラリーマン生活を送り、知人に誘われてIT企業の立ち上げに尽力。

企業戦略でアグリビジネスを学ぶ中、農業に強い関心を持ち、末端の消費者とどう繋(つな)がるかを模索していくうちに日本茶の魅力に取りつかれた。

働きながら日本茶インストラクター協会の認定資格を取得。方向性を探る途上で震災に遭い、甚大な被害を受けた本市に日本茶カフェを立ち上げることを耳に。

日本茶で少しでも被災された人の心を癒やしたいとの思いから、誘われる形で本市に移り住んだのだという。

専門家視点で店を軌道に乗せ、その後、弊社発行のフリーペーパー「Junction(ジャンクション)」(休刊中)で連載を続けるなど、日本茶ソムリエ、セミナー講師として活躍。

1年ほど前にJRいわき駅前に待望のカフェを開設させたが、建物の老朽化によりやむなく店を閉めることとなり、心機一転、エブリアに店を再オープンさせることが叶(かな)った。

店名は夢のような場となるよう、桃源郷を意味する「シャングリ・ラ」=電話090(1376)9400=に。敷居を低くし、間口を広めるためにランチや甘味を充実させた。

とはいえ梶塚さんのおススメは、日本茶本来の味が楽しめる「日本茶の飲み比べ」。特に幾度も全国品評会で全国1位に輝いている、静岡県榛原郡川根本町産の川根茶を推す。

南部鉄瓶を用い、黄金の1杯目は梶塚さんが直接入れるこだわりようで、渋み、苦みのないさっぱりとした味と鼻孔に抜けるような豊かな香りは、毎回客を驚かせる。

「お茶といえばタダで飲める安いイメージしかない。お茶の価値を高めたい」と梶塚さん。妻あかねさんと二人三脚で奮闘する姿、本物の日本茶が楽しめる専門店として、幅広い年齢層の注目を集めている。