2019年11月27日(水)

■強肩強打の捕手 平出身のロッテドラ2・佐藤(東洋大)指名報告 古里に勇気を

プロ野球新人選択会議(ドラフト会議)で、ロッテにドラフト2位指名された、東洋大の佐藤都志也捕手(4年)=平二中卒=が26日、市役所を訪れた。

新妻英正副市長と歓談し、サイン入り色紙を寄贈。「いわきの球児たちの目標とされる選手になりたい」と本市出身の誇りを胸に、プロ球界での活躍を誓った。

佐藤は聖光学院高時代、プロ志望届を提出したが指名されなかった。大学の4年間で、強肩強打の捕手として成長。4年前の屈辱を晴らし、ロッテに2位指名された。

今月6日、契約金7000万、年棒1200万円(金額は推定)で合意。12月9日の入団会見で背番号が発表される。現在、年明けの新人合同自主トレに向けて、大学の施設で練習に励む。

新妻副市長から、ドラフト指名された感想を求められ、「まだ実感は湧かないが、キャンプ入りすれば、ようやく実感が湧くはず」とニッコリ。

「阿部慎之助さん(巨人2軍監督)、森友哉さん(西武)のように打てる捕手になりたい」と力強く抱負を述べた。

ドラフト会議後の10月下旬以来、約1カ月ぶりに帰郷。その当時、市内各地は台風19号の影響で水害に見舞われ、実家も断水となった。

「だいぶきれいになり、一安心した」と安どの表情を浮かべらも、「水害に見舞われ、今も大変な思いをしているいわきの方々を勇気づけられるよう、頑張りたい」と話した。

座右の銘は『夢追人』。4年越しの夢を叶(かな)え、プロの舞台に立つ。対戦したい選手として、昨秋のドラフトでプロ入りした東洋大出身の1学年先輩の3人を挙げた。

特にプロ入り1年目で2勝8セーブに加え、26ホールドを記録、クライマックスシリーズでは計8試合に登板し、チームの日本一に貢献したソフトバンクの甲斐野央(23)との対戦を熱望。

実現すれば、大学時代の紅白戦以来の対戦となる。「そのためにも、早く1軍に上がれるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。

◆佐藤都志也(さとう・としや)

平生まれ。181センチ、83キロ。右投げ左打ち。強肩強打の捕手で50メートル走は5秒9の俊足。

平六小3年から、みまやスポーツ少年団でソフトボールを始め、平二中では軟式野球部に所属し、中学軟式野球のいわき地区選抜チーム「いわき松風クラブ」でプレーした。

聖光学院高に進学し、2年(8強)、3年(2回戦敗退)で夏の甲子園に出場した。東洋大では2年春から、一塁手として東都大学リーグに参戦し、首位打者を獲得。春、秋にベストナインに選ばれた。

3年春から、正捕手に。主将として挑んだ今春、2季ぶり20回目のリーグ優勝に貢献し、捕手では初のベストナインを受賞し、大学日本代表にも2年連続で選ばれた。

写真は、新妻副市長にサイン入り色紙を手渡す佐藤=26日午後(クリックで拡大)

■「グループ補助金」豪雨被害も対象へ 清水市長ら梶山経産相に要望

台風19号で被災した中小企業が、まとまって復旧に当たる際に支援する制度「グループ補助金」について、10月25日の大雨による被災企業も対象とする見通しとなった。

梶山弘志経済産業相が26日、清水市長や内堀知事、郡山市の品川萬里市長が経産省で行った緊急要望を踏まえ、追加する方針を明らかにした。

ただ東日本大震災との二重被災に対する定額補助に関しては、要件緩和をするかは検証するとの発言にとどめた。

グループ補助金は宮城、福島、栃木、長野の4県で、中小企業がまとまって復旧を進める場合、費用の最大4分の3を支援する。

上限は15億円だが、震災からの復興を考え、宮城、福島県は5億円までを定額補助する。

当初は台風19号の被害に限っていたが、10月25日の大雨も激甚災害に指定されたため、グループ補助金の対象とする妥当性が生まれた。

一方で定額補助には要件として、▽震災時に国や県の補助事業を活用している▽売上高が震災以降20%以上減少している▽震災に関係した債務が残っている――ことを定めている。

市によると、震災から8年8カ月経過している上、当時は津波被災が主だったことから、市の簡易調査では、定額補助に該当する中小企業はゼロという。

清水市長からも要件緩和を求める意見が出されたが、梶山経産相は定額補助はあくまで例外的措置であると指摘した。

また震災時と異なり、今回のグループ補助金は資本金10億円以下の企業のみに適用され、大企業やみなし大企業は含まれない。

いわき市では親会社が上場企業とあって、規模こそ大きくないが、みなし大企業とされるメーカーが浸水被害に遭い、60億円以上の損害が出ている事例もある。市全体では600事業者が被災し、200億円以上の被害となっている。

清水市長は「被災によって他の地域に移転してしまえば、復興の妨げになる。さらに福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現に向け、悪影響をもたらすであろう」と訴えた。

内堀知事からも既存の制度も活用しながら、柔軟な対応を取るよう伝えられた。

■台風19号などの浸水家屋等 公費解体のコールセンター設置 30日から

市は30日から、台風19号や続く大雨で被災した家屋等について、公費解体に向けたコールセンターを設置する。

コールセンターの電話番号は(84)2574。時間は午前9時〜午後5時。12月27日まで(土曜・日曜も含む)。市が27日に明らかにした。

対象は、罹災(りさい)証明書で半壊以上と判定を受けた家屋等。倉庫・物置、中小企業の事務所や店舗も含まれる。建物の一部解体、リフォームは対象外。

申請に当たっては、生活環境の保全上、やむを得ず解体することが要件。

具体的には、▽修理を行えない程度の損害▽倒壊による人的・物的被害を防ぐ必要性▽浸水による土砂の撤去や、耐え難い悪臭の除去をする必要性――を指す。

今後は行政書士会と連携した相談窓口を12月中に開設し、受け付けは来年1月からを予定している。

なお自費での解体に対しても、市の算定基準で償還がある。問い合わせは同じくコールセンターまで。

■いわきFC たゆまぬ挑戦 大倉社長とFW吉田知に話を聞く

いわきFCは20〜24日、広野町のJヴィレッジスタジアムで行われた「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)」の決勝ラウンドで優勝し、来季の日本フットボールリーグ(JFL)昇格が内定した。

JFLは1〜3部に分かれるJリーグに次いで、4部相当の全国リーグでアマチュア最高峰。12月5日のJFL理事会で、正式に昇格が承認される。

いわき民報社では、いわきFCの運営元・いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役(50)と、FW吉田知樹(21)=小名浜出身=に話を聞いた。

[この街に新たな感動を]

「(JFL理事会では)書類で落ちないようしないと」と、大倉氏はおどける。

Jリーグのセレッソ大阪でフロント入りし、湘南ベルマーレでは代表取締役社長まで務めた中で、「何度も昇格・降格を経験してきたが、地域CLの難しさを改めて感じた。勝ち上がるには運も必要だと思っていたが、やはり選手の努力のたまものだ」と語る。

常に自分にも、選手にも言い聞かせているのは、いわきFCが東日本大震災を契機に、いわき市に創設されたクラブということ。

平成28年から現体制が始動したが、大倉氏は「この4年間で、ようやくいわき、浜通りの人が、どれだけ傷ついたか分かるようになった」と話す。すべての意味で、この地を理解するようになった。

「いわき市を東北一の都市にする」。一見すると荒唐無稽のビジョンだが、いまでは単にサッカーの試合にとどまらず、いわき市のスポーツや文化に広く影響を与えている。

大倉氏は「Jリーグ入りは目的ではない」と重ねて強調する。クラブが掲げる「魂の息吹(いぶ)くフットボール」は興行として、見る人をワクワクさせる試合だ。

入場料収入がその興行の価値を決め、来た人に再び見たいと思わせる考えは一貫している。

また大倉氏は「Jリーグに参入すると、いわき市から出ていくのではと言われるが、そういうことはない」ときっぱり。

集客力を踏まえ、将来的にホームタウンを双葉郡や浜通りと広げる考えはあっても、いわき市から生まれたクラブに変わりはない。

「人々に感動を与えられるよう、より磨きをかけたい」。大倉氏のさらなる挑戦が楽しみだ。

[心身ともに成長で古里のために]

「生まれた街に恩返しができるようプレーしたい。まだまだこれから」。吉田はやや照れながらも、まっすぐなまなざしを見せる。

吉田はいわきFCでは唯一の地元選手。茨城・明秀日立高では、全国高校サッカー選手権に出場し、10番を背負っていた。いわきFCが現体制となった平成28年に加入し、立ち上げからチームを支える一人だ。

いわきFCはビジョンの一つに、「日本のフィジカルスタンダードを変える」を立てているが、吉田は「1年目のころは、筋力トレーニングが嫌いだった」と明かす。

Jリーグのチームと試合をした際、体負けしたことで、少しずつ思いは変わった。

「自分が成長するためには、何が必要かと考えた。いまでは積極的に筋力トレーニングに取り組んでいる」と吉田。体重も65キロから74キロに増量し、スプリントの数値も向上した。

「体も大きくなったことで、メンタルも成長した」。途中出場が求められた中で、チームに勢いをもたらした。「地域CLでは自分の持ち味が出せた」と自信を見せる。

地元の期待を一身に背負うも、「チャレンジャーの気持ちを持ち続けたい」と意気込んだ。

■本番に向け技繰り広げる 市消防団第5支団第3分団?はしご乗り始め式行う

来年1月5日の消防出初め式に向け、市消防団第5支団第3分団(菊谷修一分団長)のはしご乗り始め式が25日、内郷消防署で開かれた。

式では、後藤好一第5支団長が「はしご乗りの伝統をつなぐためにも事故に気をつけ、市民に『第5支団ここにあり』という意気込みを見せていただきたい」とあいさつ。

市川雅子市内郷支所長の激励に続き、後藤支団長が菊谷分団長に激励金を贈った。

太夫8人の紹介のあと練習が始まり、同署一角の練習場に設けられた1・5メートル、2メートル、3・5メートル、5・5メートルのはしご5基を使い、枕邯鄲(まくらかんたん)、二本腹亀、灰吹胴鯱(はいぶきどうしゃち)などの技を繰り広げた。

今年で19年目の太夫・出田一さん(39)は「練習生の見本になるような、妙技を披露したい」と話した。

写真は、ベテランの太夫・出田さんの練習風景(クリックで拡大)