2019年11月21日(木)

■岡山・真備から支援の手 西日本豪雨の経験生かして 住宅再建にモデルハウスも

昨年7月の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市から、台風19号や続く大雨で被害を受けたいわき市に、NPO団体が支援に入っている。来市しているのは、災害支援団「Gorilla(ゴリラ)」。

ゴリラは、河川堤防の決壊による大規模浸水で51人が亡くなった倉敷市真備町に復興本部を構え、地元での経験を基に、全国各地の被災地を訪ねている。

いわき市でも発災直後から活動しており、炊き出しや毛布の提供、水害を受けた住宅の再建に向けたアドバイスなどを進めている。

「まずはおいしいものを」。20日夕方、160人が避難する内郷コミュニティセンターの駐車場で、ゴリラ代表理事の茅野匠さん(47)は笑顔で語った。

目の前には200人分の豚大根が入った寸胴(ずんどう)が置かれ、辺りには食欲を誘ういいにおいがしていた。炊きたてのご飯や、白菜のみそ汁も用意した。ロビーで配られると、避難する市民からは自然と笑みがこぼれた。

20日は朝から、平下平窪地区の分と合わせ、豚大根400人分をつくった。茅野さんは地元の仲間らとともに、10月から定期的に、いわき市と岡山県を往復している。ワゴンやトラックに必要な物資を詰め込み、片道900`を自らもハンドルを握る。

茅野さんは、これまでの支援を踏まえ、避難所では弁当ばかりの食事となるため、結果的に心身とも体調を崩しがちと指摘する。

「食は健康につながる。おいしいものを食べて、不機嫌になる人はいないでしょ」と笑う茅野さん。炊き出しの内容も、カロリーや塩分などにも気を配る。こうした熱意に共感し、平・白銀の飲食店関係者も協力する。

こだわりは他にも。今回持ち込んだ毛布400点は、いずれも新品をそろえている。

西日本豪雨では使い古しが寄贈され、被災者が不快な思いをした事例もあった。寒い冬を乗り切るためにも、少しでも良い気持ちでいてほしいとの心配りだ。

被災者のニーズが変わるのを見越し、今回の滞在は12月5日までを予定する。茅野さんは「まっすぐな支援をしたい」と意気込みを示した。

[浸水家屋に対する必要な知識を]

ゴリラと連携し、倉敷市真備町の西岡あつしさん(46)は、小川町高萩の浸水家屋を、清掃や乾燥、部分解体といった保全のモデルハウスに仕立てている。

JR小川郷駅近くのこの家は、高さ1メートル超の床上浸水をしている。「地域によって差はあるが、私たちの経験を住民の方に参考にしてほしい」と西岡さん。彼もまた多くの被災地に赴き、必要な支援を行っている。

いわき市が大きな水害に見舞われるのは、30年ぶりとあって、必ずしも市民に知識があるとは限らない。

そうした隙を狙って、不要な修繕を勧める悪徳業者もいることから、西岡さんはモデルハウスを通じ、助言できればと思っている。

写真は、内郷コミュニティセンターで炊き出しの準備をする茅野さん(右)ら=20日夕方(クリックで拡大)

■10月25日の大雨 浸水区域は約69ヘクタールに

市は20日、10月25日の大雨について、いわき市で約69ヘクタールの浸水があったと明らかにし、暫定版の浸水区域図を公表した。

浸水区域の内訳は、平地区が約3ヘクタール、小名浜地区が約1ヘクタール、常磐地区が約9ヘクタール、内郷地区が約56ヘクタールとなっている。

浸水区域図は こちら(市資料より=9・6MB)

※参考資料 台風19号に伴う浸水区域図 夏井川水系(同=7・4MB) 鮫川水系(同=9・3MB)

■地域CL いわきFC あす京都戦 昇格決まる可能性も気負いなし

日本フットボールリーグ(JFL)昇格を懸けた「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)」は22日、広野町のJヴィレッジスタジアムで、決勝ラウンド2日目を迎える。

決勝ラウンドには、東北リーグ1部優勝のいわきFC、北信越リーグ1部優勝の福井ユナイテッドFC、関西リーグ1部優勝のおこしやす京都AC、四国リーグ優勝の高知ユナイテッドSCが出場。

4チームによるリーグ戦で、上位2チームに入ると、JFLに昇格することができる。

初日の20日は、いわきFCが高知を3―0、京都が福井を2―0で破ったため、いわきFCは得失点差で首位に立った。

いわきFCは22日、京都と対戦する。キックオフは午前10時45分予定。

10月の全国社会人サッカー選手権大会で、いわきFCは0―2で敗れている相手だが、初戦で得点したFWバスケス・バイロン(19)は、「次の試合に向けて切り替え、しっかり準備していく」と意気込んでいる。

22日にいわきFCが京都に勝利し、高知が福井に勝つか引き分けると、いわきFCのJFL昇格が内定する。

■自民党県連の役員人事 矢吹氏が政調会長に就く

自民党県連は20日、県議会改選を踏まえ、議員全員協議会によって、新たな役員体制を固め、いわき市選挙区の矢吹貢一氏(64)=平字権現塚、3期=が、三役の一つ・政調会長に指名された。

21日の総務会で、正式に決定した。

■ほっこり市中止も、ひっそり市開催へ 新鮮野菜や加工品販売など 23日に田人ふれあい館で

田人町の新鮮な野菜や農産物加工品などを直売する「田人ひっそり市」が23日午前10時から、田人町旅人字下平石の田人ふれあい館第2駐車場で開かれる。同市実行委員会主催。

平成20年度より始まった恒例のイベント「田人ほっこり祭」が台風19、21号の影響で中止となったことを受け、人気の「軽トラバザール」に出店予定の地元農家から「せめて直売市だけでも開催できないか」などといった相談が持ち上がったのがきっかけ。

国道289号線の大規模土砂崩れをはじめ、大きな被害を受けた田人町に元気を取り戻そうと、急きょ開催が決まり実行委員会(蛭田一委員長)を組織して準備してきた。

当日は白菜や大根、自然薯(じねんじょ)などの新鮮野菜や手づくりのこんにゃく、栗ふかし、干し柿などの農産物加工品を販売。地元の飲食店なども出店する予定。

開催時間は午後3時までだが、売り切れ次第終了となる。

問い合わせは、市田人支所内・地域おこし協力隊=電話(69)2111=まで。