2019年11月16日(土)

■いわきFC JFL昇格誓う 清水市長「明るいニュースを」

いわきFCは15日夕方、市役所を訪れ、清水市長に対し、「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)」の決勝ラウンド進出を報告し、日本フットボールリーグ(JFL)昇格を誓った。決勝ラウンドは20〜24日、広野町のJヴィレッジスタジアムで行われ、4チームのうち、上位2チームに入ると、JFLに昇格できる。

市役所には、運営元・いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役、岩清水銀士朗COO(最高執行責任者)、いわきFCの田村雄三監督、主将のMF平沢俊輔、副主将のGK坂田大樹、FW久永翼が訪問した。

清水市長は台風19号と続く大雨の被害を踏まえ、いわきFCのボランティア活動や、いわきFCパークの水道・シャワー開放に謝意を伝え、「いわき市に、明るいニュースをもたらしてほしい」と激励した。

大倉氏は、清水市長と面会すると、勝利を呼び込むと冗談めかしながら、「私たちはまだ何も成し遂げていない。JFL昇格によって、J3(Jリーグ3部)が見えてくるので、結果でお返ししたい」と強調した。

また市の協力もあって、将来のJリーグ参入に必要な「Jリーグ百年構想クラブ」の認定も、順調に作業が進んでいる意向を示した。

平沢は「試合に出られる出られないに関係なく、それぞれの立場で役割を全うしている」と述べ、チームはまとまっていると語った。

決勝ラウンドでは、20日に高知ユナイテッドSC、22日におこしやす京都AC、24日に福井ユナイテッドFCと対戦する。いずれもキックオフは午前10時45分の予定。

おこしやす京都ACは今季、関西1部優勝のチーム。いわきFCは前身含め、全国社会人サッカー選手権大会(全社)で3度対戦し、1勝1分け1敗(うち1分けはPKで敗退)。10月の全社準決勝では、0―2で負けている。

いわきFCが県1部当時の平成29年、全社枠での地域CL出場から、飛び級でのJFL昇格が可能だったが、2回戦で京都にPK負けを喫した。PKを失敗した久永は「あの時はショックを引きずった」と振り返る。JFL昇格に当たって、負けられない相手だ。

写真は、清水市長を表敬訪問したいわきFC=15日夕方(クリックで拡大)

■台風19号・豪雨被害 市独自の事業者支援決める 融資負担軽減に最大150万円

市は15日、台風19号や続く大雨で被災した事業所を対象に、市独自の支援施策の概要を発表した。支援施策のうち、「いわき市豪雨災害特別資金」では、県豪雨災害特別資金を活用する事業者の負担を軽減するため、信用保証料と利子補給の補助を合わせ、最大150万円までを手当てする。

また「いわき市被災事業者事業継続奨励金」も創設し、中小企業等グループ補助金、小規模事業者持続化補助金の採択を受けると、一律で10万円を交付する。

支援施策は15日夕方、清水市長が臨時の市長記者会見で明らかにした。市によると、東日本大震災の際には、信用保証料の補助は実施したが、利子補給の補助や奨励金の設定は初めてとなる。

市でも、いわき市の被災事業者の状況を調査しており、台風19号や続く大雨によって、200億円程度の被害額と試算していると示した。

市豪雨災害特別資金では、県豪雨災害特別資金として、県内の金融機関から融資を受けるに当たって、信用保証料は50万円まで、利子補給は3年間で100万円まで、それぞれ定額補助する。

市では震災時を踏まえ、融資のモデルケースを1500万円(期間10年)とし、この場合は保証料が44万6000円、3年間利子が63万円となり、市の制度によって、元本のみの返済で済む。制度の活用を通じ、30億円規模の融資を引き出したいとしている。受け付けは25日からを予定する。

市被災事業者事業継続奨励金は、少額ではあるが、事業者の意欲を持たせ、市内産業の空洞化を防ぐ目的で、市が「寄り添う形でつくった」(石曽根智昭市産業振興部長)という。グループ補助金などと関連するため、12月上旬以降に受け付ける見通し。

2つの制度を合わせ、約2億6000万円を計上する意向で、近く開かれる市議会臨時会で可決を求める。

いずれの制度に関しても、28日午前10時半から、市生涯学習プラザで、被災事業者向けの説明会を開催する。

なお市はいわき商工会議所、市内各商工会とも連携し、被災事業者の再建に協力していく。問い合わせは、市産業創出課=電話(22)1126=まで。

■きょう磐越東線全線再開 台風19号から県内在来線すべて復旧

JR磐越東線は16日、台風19号の影響で不通となった、いわき―小野新町(小野町)駅間の運転を再開した。

磐越東線では盛り土が流されたり、線路に土砂が流れ込んだりしたため、10月12日から運転を見合わせ、6日に小野新町―郡山(郡山市)駅間の運転が再開したが、残るいわき―小野新町駅間では復旧作業が続いていた。

JR東日本によると、台風19号で被災した在来線のうち、県内の不通区間は解消された。

16日は始発列車から、通常通りの運行に戻った磐越東線。

郡山―いわき駅間に乗車した、本宮市の藤原真奈美さん(48)は、普段は高速道で移動するが、きょうから再開予定と聞いて鉄道を利用した。「夏井川渓谷の紅葉はきれいだった。一方で赤井の辺りでは、川岸に流木が目立ち、台風による被災の様子を感じた」と話した。

■水害ごみの年内撤去指針 大規模集積所の見通し明らかに

市は15日、台風19号で生じた水害ごみについて、臨時集積所から年内に撤去する指針を示し、大規模集積所からの搬出する見通しを発表した。清水市長が同日夕方、臨時の市長記者会見で明らかにした。小規模な場所も、同じく年内に解消するとしている。

撤去に当たっては、市環境保全センター、市建設業協同組合、県産業資源循環協会、自衛隊が協力するほか、市消防団もボランティアとして参加する。

市では運び出しに向け、仮置き場を増設し、18日から四倉町八日十日(やかとか)の最終処分場跡地も活用する。なお市では搬出に際し、一時的な交通規制を敷く可能性があるとし、市民に理解を求めている。

大規模集積所の撤去見通しは次の通り。

▽下平窪第一公園=12月第2週▽下平窪第二公園=12月第3週▽中平窪第一公園=12月第2週▽中平窪第二公園=同▽平窪公園=12月第3週▽高砂公園=12月第2週▽平中平窪地内・夏井川堤防=同▽幸寿苑=11月第5週▽平中平窪字高儘=12月第1週▽市営鯨岡団地内=12月第1週▽市営幕ノ内団地内公園=同▽下の町公園=11月第5週▽前川田公園=同▽平字幕ノ内字水穴=12月第2週▽好間町上好間字道成川原=12月第1週▽市営叶田団地内公園=11月第5週▽金谷公園=11月第4週

■国際キルトフェス・ハンドメイド部門 小野さん(小名浜)世界2位の快挙

1974年より続く、権威ある世界最大規模のキルト展「国際キルトフェスティバル・ヒューストン」が10月29日から11月4日まで、アメリカ南部テキサス州の都市ヒューストンで行われ、日本手芸普及協会パッチワークキルト認定講師の小野輝子さん(75)=小名浜玉川町=がハンドメイド部門で世界2位となる快挙を成し遂げた。

小野さんが出品したのは、1日5時間もの制作時間を費やし、2年の歳月をかけて完成させたという、2メートル四方の手作りキルトの大作「Gentle Flowers(ジェントル・フラワーズ)」。

庭に咲くアメリカンキキョウとバラを主役に、模様を立体に浮かび上がらせる落としキルト技法と、縫い目が目立たないよう生地の配置に細心の注意を払った力作で、中央の花々を囲むハート柄などの円については、ミリ単位で寸法を図りバランスに気を使った。

作品は今年1月に東京ドームで開かれた「東京国際キルトフェスティバル」でも入選しており、評価の高さを受け、海外生活が長く、作家活動をサポートする夫・豊彦さん(81)の後押しを受けて出品することを決意。

国際キルトフェスティバル・ヒューストンは同じ国際と銘打つが、キルト愛好家ならば1度は訪れ、出品したいと願う権威ある世界最大規模のキルト展で、最終選考に残るだけでも満足にもかかわらず、まさかの世界2位。

予想以上の結果に夫妻そろってただただ驚いたというが、輝子さんは満面の笑みを浮かべ「驚いたけどうれしかった。初めて海外旅行に出かけられたのも良かった」と現地での表彰式をはじめ夢のような日々を振り返り、喜びをかみしめた。

一方、業界は近年ミシンを使ったキルトが大勢を占め、手づくりキルト作家は希少といい、輝子さんは「ミシンはまるで絵画のような作品ができて魅力だが、手づくりの良さを伝えるためにもハンドで頑張りたい」と、今回の結果を励みに意欲をみせている。

入賞作品はキルト愛好家の「聖地」テキサスキルトミュージアムで展示された後、本人のもとへ里帰りする。

写真は、世界2位を獲得した力作のそばで笑顔をみせる小野さん(クリックで拡大)