2019年11月14日(木)

■平下神谷 古民家改修のゲストハウス 16日にチャリティー兼ねたイベント

江戸時代の古民家を改修したゲストハウスとして、平下神谷字赤沼の「GAMP HOUSE(がんぷハウス)」が注目を集めている。

オーナーの新妻唯昭さん(41)が東日本大震災をきっかけに、家族や仲間の協力を得て、およそ270年前の様子をよみがえらせた場所で、平成28年10月から3年あまりをかけて、リノベーションを続けている。

16日には台風19号を受け、チャリティーを兼ねたイベント「がんぷ祭り」を企画しており、被災した人に少しでも元気を与えたいと考えている。

古民家は震災によって崩れかけたが、歴史性を踏まえ、多くの人から残すよう求められた。修繕費に苦慮する中で、直しながら民泊として活用する手を思い立ち、少しずつ手を加えていった。現在も五右衛門風呂の設置を進め、新妻さんの思いは尽きない。

もともと心理カウンセラーだった新妻さんは、震災によって傷ついた子どもたちを目にした。家庭教師をしながら、交流の大切さを実感し、いまにつながっている。

その珍しさから、宿泊客の6割が外国人という。新妻さんは「東京観光で来日しても、わざわざ泊まりに来た人もいた。ここに来ることが目的になっている」と語り、「地元の人も、もっと来てほしい」と笑う。

12畳のシェアルーム(相部屋)と、6畳、4畳半の個室を完備するが、夜は年齢や性別、国籍に関係なく、いろりを囲むのが定番となっている。

「昔ながらの状態に戻し、この場所も泊まる人も、ありのままの姿でいてほしい」と新妻さん。原点に戻れる宿をモットーに、宿泊者が到着すると、「おかえり」と声をかける。

GAMPは「Go At MyPace」の頭文字で、マイペースに行こうを意味する。実は新妻さん自身も、必ずしも必要な支援が受けられなかったこともあって、震災から立ち直るのに時間がかかった。

そうした経緯から、新妻さんは「台風で被災した人も、時間はかかるかもしれないが、あきらめては駄目。必ず立ち直れる」と呼びかける。

16日の「がんぷ祭り」では、もちつきやフリーマーケットなどが行われるほか、かまどで炊いた米飯のおにぎりや、いろりで焼いたメヒカリも用意される。

中学生以下の子どもたちや、被災した人たちには、無料でポップコーンが振る舞われる。

時間は16日午前11時〜17日午後1時。問い合わせは、GAMP HOUSE=電話050(5580)8773=まで。

写真は、ゲストハウスを運営する新妻さん(左)。家族や仲間も協力する=14日昼(クリックで拡大)

■福島海保 江名港沖の南防波堤 新たな灯台1基設置

海上保安庁は13日午後、福島海上保安部(大達弘明部長)が管理する、江名港沖南防波堤の仮設灯台に代えて新たな灯台1基を設置した。

同港では平成26年2月に発生した、発達低気圧に伴う強烈な波浪により灯台2基が被災し、仮設灯台を置いて応急的に対応してきた。しかし仮設では数キロしか光が届かないため、夜間時などの船舶交通の安全性確保に向けて新たな灯台の設置が求められてきた。

中之作港にも新たに灯台を1基設置することが決まり、当初は9月下旬から10月初旬にかけて作業が予定されていたが、台風19号をはじめ悪天候が続き順延していた。

この度防波堤に設置されたのは、平均海水面から頂部まで18メートルの高さがあり、光も14キロほど届く白亜の灯台。残す2基については、15日の設置を予定している。

今回の設置により、同保安部が管理する灯台の数は29基となるという。

写真は、15日に設置予定の灯台2基と、設置作業が行われる新たな灯台(奥・右上囲み)=13日午後(クリックで拡大)

■内郷コミセン 70歳代女性が搬送後に死亡 避難との因果関係は不明

市は14日、台風19号の被災に伴い、内郷コミュニティセンターに設けられた避難所で、70歳代女性が搬送された後に死亡したと発表した。飯尾仁市保健福祉部長が同日午前、臨時の記者会見で明らかにした。

市によると、70歳代の女性は平地区に住んでおり、平屋建ての自宅が床上浸水したため、家族と一緒に避難生活を続けていた。10日午後11時半ごろ、トイレで嘔吐(おうと)し、息苦しさを訴えたため、市内の病院に救急車で運ばれたが、11日午前10時37分に亡くなった。死因は肺炎とされている。

女性には間質性肺炎の持病があった。市では体調不良の報告は受けていないが、家族によると、7日にデイサービスの体験を受けた際、疲れたと話していたという。

死亡と避難の因果関係は不明としており、家族から申し出があれば、災害関連死かどうかについて、年明けにも災害弔慰金等支給審査委員会を開いて判断する。

市によると、10日までに避難所から搬送された人は、この女性を含めて9人。主に体調不良や外傷で、残りの8人は命にかかわる事態ではないとしている。

[市の発表姿勢などに疑問残る]

市は女性の死亡に関して、当初は発表する予定はなかった。ただ13日夜から報道されるようになったため、一転して発表を決めた。

最初の方針は、女性の家族から、そっとしていてほしいとの意向を告げられたためだが、プライバシーに配慮し、本人が特定できない形で、速やかに発表することは可能だったはず。

13日夜の報道を受けて、改めて家族に確認して発表に至った。

情報のあり方にも問題が感じられる。清水市長には11日の時点で伝えているものの、災害対策本部内で共有はされていなかった。また県に対する報告も、リエゾン(連絡員)らが詰めているのを理由に、その職員が分かっているとして、特段上げていない。

不幸にも自然災害の中で亡くなった市民がいる以上、再発防止に向けて、広く事実を公表していくべきだ。

■平四小で実施 陸上自衛隊の入浴支援 きょうで終了

台風19号に伴い、陸上自衛隊が平四小校庭で実施する入浴支援が、14日をもって終了する。断水の解消で利用者が減少傾向にあるほか、寒い時期を迎えるに当たって、屋外での急激な温度変化が体調不良を招くことから、入浴支援の終了が決まった。

市では、引き続き入浴支援が必要な人のため、被災者が無料で利用できる施設まで、送迎バスを運行している。

運行ルートは、あかい幼稚園脇―杉内バス停―平窪農協バス停―鍛治内バス停―磐城橋バス停―県営鯨岡団地―いわき新舞子ハイツ(市健康福祉プラザ「いわきゆったり館」)。

運賃は無料。毎日往復4便を設定。土曜・祝前日は、3、4便が、いわきゆったり館に向かう。

詳しいダイヤは、本紙ホームページのトップを参照すればよい。

■来場者が水墨画の世界堪能 いわき華墨会第5回合同展 伝承郷で18日まで開催中

いわき華墨会(丹野耕次会長)の「第5回水墨画合同展」が14日から、市暮らしの伝承郷で始まった。入場無料。18日まで。

会場には、日本水墨院審査理事の国分華寿さん作「小野川不動滝」をはじめ、国分さんが指導する飯野水墨画サークル、水墨画教室「華」(山口明雄会長)の18人が描いた風景、ボタン、ツバキ、アジサイ、竹など植物、鳥などを題材にした作品57点を展示している。

来場者は、墨の濃淡が巧みに配された力作の数々をじっくり見入るなど、水墨画の世界を堪能していた。

時間は午前9時半〜午後4時(最終日は同3時)。問い合わせは、丹野会長=電話(22)2581=まで。