2019年11月1日(金)

■あすから水害ごみ撤去強化期間 官民一体で生活環境改善を

市は2〜4日の3日間を「水害ごみ撤去強化期間」と定め、台風19号で生じた水害ごみについて、官民一体となって生活環境から撤去する。また3連休とあって、市では災害ボランティアセンターを通じた参加を求めており、清水市長も「皆さんのご協力をいただきたい」と呼びかけている。

平・平窪地区などには、公園や道路沿いに多くの水害ごみが置かれたままで、仮置き場への搬出もなかなか進んでいない。水害ごみは大人の背丈以上に積み上げられているほか、場所によっては臭いも気になる現状で、被災した市民の生活再建の足かせとなっている。

こうした状況を改善しようと、2〜4日の水害ごみ撤去強化期間では、市環境保全センター、市環境整備公社、市一般廃棄物センター、市建設業協同組合、市消防団、自衛隊、災害ボランティアが連携し、片づけを進めていく構えだ。

災害ボランティアセンターの受け付け人数も一時期落ち込んでいたが、盛り返しの兆しにある。10月30、31日と2日連続で100人を超えたが、平日としては開設2、3日目の同17、18日以来の実績となった。2〜4日の3連休は、さらなる伸びが期待される。

写真は、水害ごみで満杯となった下平窪第一公園。臭いも気になる=1日昼(クリックで拡大)

■いわき市の農林水産業被害 約53億4000万円に上る 台風19号と続く豪雨

市は10月31日夜、台風19号や25日の豪雨を受けて、いわき市の農林水産業の被害状況を明らかにし、被害額は同日時点で、53億3982万6000円に上ると明らかにした。25日時点の県のまとめ(台風19号のみ)では、いわき市の被害額は25億3863万円あまりだったが、調査を進めた結果、さらに影響が大きかったことが判明した。

市農業振興課では、今後も被害額が増える可能性を示している。

被害の原因となっているのは、主に台風19号による夏井川などの氾濫・決壊で、平・平窪や小川の農業環境に打撃を与えている。

市のまとめによると、水稲やトマト、シクラメンなど農作物の被害は308・68ヘクタール、被害額は3億7719万5000円。日本なしやキウイフルーツといった樹体の被害は2・65ヘクタール、被害額は241万1000円。

ハウスや電気柵等の施設は14件・202万9000円の被害となっている。

農地関係では、田や畑に229カ所・10億2400万円に加え、農道や水路、堰(せき)は460カ所・34億1700万円の被害が確認された。

田人などでの土砂崩れも被害を生んでおり、林地が6カ所・1億3800万円、林道施設62路線119カ所が2億8050万円、林産施設(田人おふくろの宿など)17カ所が8957万9000円と計上した。

水産関係では、市漁協(市漁業協同組合)小浜支所の小型漁船1隻が転覆し、175万2000円の被害。整備中の保冷車が浸水被害を受け、736万円の損害となった。

■応急修理制度の取り扱いを変更 台風19号などの家屋被害

市は1日、台風19号などの被災に伴う「住宅の応急修理制度」について、県の実施要項の改正に合わせ、取り扱いを変更したと明らかにした。

これまでは半壊、一部損壊(準半壊)に関して、世帯主の年齢などに応じた資力要件を求めたが、これを設けず、代わりに資力に関する申出書で理由を確認する。

また畳など床仕上げ材の修理に際して、壊れた床の下地の修理と一緒の場合、一戸あたり6畳相当を限度としたが、この制限をなくした。

■県議選 きょうから期日前投票始まる 3カ所では被災影響で設置せず

任期満了に伴う県議選の期日前投票が1日、市役所東分庁舎などで始まった。期日前投票は、10日の投票日に用事があって行けない人を対象にしており、いわき市の選挙人名簿に登録されていれば、住所に関わらず、すべての期日前投票所で一票が投じられる。

ただ台風19号の影響で、好間公民館(避難所のため)、中央台公民館(同)、市小川支所(支所1階が水没したため)には、期日前投票所を設けていない。

期日前投票の場所・時間は次の通り。

▽市役所東分庁舎、小名浜、勿来、常磐、内郷、四倉の各支所=1〜9日・午前8時半〜午後8時▽遠野、三和、田人、川前、久之浜・大久の各支所=1〜7日・午前8時半〜午後6時/8、9日・午前8時半〜午後8時▽いわき駅前ラトブ=2〜9日・午前10時〜午後8時▽泉公民館講堂=5〜9日・午前8時半〜午後8時

■県議選連載「水害被災の中での選挙戦」 投票率低下に危ぐの声

「遊説日程を何とかまとめたところ。正直選挙どころではない」。任期満了に伴う県議選が10月31日に告示されたが、台風19号と続く豪雨によって、被災地支援を優先したとあって、南部地区のある現職候補は苦しい胸の内を明かす。夏井川の決壊が大きく取り上げられるが、自らの地盤でも被災している支持者は少なくない。

ウグイス嬢の第一声も「このたびの被災をお見舞い申し上げます」から始まる。この陣営関係者は投票率を3割台と見込んでいる(前回の平成27年県議選で、いわき市選挙区は45・51%)。「ただ前回より4人少ないから、必要な得票数は必然的に上がる」と話す。

1日から期日前投票がスタートしたが、投票に訪れる市民からは、「選挙より優先すべき課題があるのでは」との指摘も多く聞かれた。一方で被災する中で、給水の手助けに駆け付けた候補者に恩義を感じ、一票を投じたと語る有権者もいた。

未曾有の水害に見舞われたいわき市で、県議選はどう繰り広げられるのか。戦いの様子を追っていく。(随時掲載)

■ノロウイルスの発症さらに2人 中央台公民館

市は10月31日夕方、台風19号に伴い、中央台公民館に開設した避難所で発生したノロウイルスについて、さらに2人が症状を訴えたと明らかにした。いずれも重症ではないという。これで同館での発症者は23人となった。